ファイザーの新型コロナワクチンの成分は?専門家が解説
日本でも承認が申請されたファイザーの新型コロナワクチンには、どんな成分が含まれているのだろうか。専門家に聞いた。 by Antonio Regalado2020.12.25
フェイスブック(Facebook)は12月3日、人々が期待している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの成分に関する陰謀論や虚偽の主張を削除すると発表した。
「ビル・ゲイツがワクチンに追跡マイクロチップを組み込んだ」「ワクチンにはホタルに由来する発光物質ルシフェラーゼ(その名は一部の人に悪魔ルシファーを連想させる)が含まれている」といった内容の噂が広がっていることを受け、フェイスブックは、「公式のワクチン成分表」に言及することで、こうした主張を規制する方針を示した。
公式のワクチン成分表には、実際には何が含まれているのだろうか? 12月8日、英国の高齢女性が、新たに承認されたファイザー(Pfizer)とバイオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンを治験以外で初めて接種した人物となった。米国は、早ければ12月10日にこのワクチンを承認する可能性がある(日本版注:FDAは12月11日に緊急使用を許可した)。これに合わせて、新たなワクチンの成分に関するこれまでで最も詳細な情報が公開された。
例として、米国食品医薬品局(FDA)が公表しているファイザーのワクチンの成分を以下に示す。
脂質
塩
その他
成分表を読むことは、シリアルの箱の側面を眺めることに似ている。ただし、その内容を理解するには有機化学の学位が必要だ。MITテクノロジーレビューは、各成分の作用を理解し、その他の事柄について正確な知識に基づく推測をするために、複数の科学者とバイオテクノロジーの起業家の助けを借りた。
mRNA
ファイザーのワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態でウイルスの実際の遺伝情報を含む、新しいタイプのワクチンだ。mRNAは分子の一種であり、通常の役割は、タンパク質の合成を誘導するために遺伝的指令のコピーを細胞の周りに輸送することである。mRNAはいわば、指示が印字された長い紙テープだ。mRNAは非常に壊れやすいため、ファイザーのワクチンは使用時まで約-73 °Cで保存する必要がある。
腕の筋肉に注射されるこの新しいワクチンは、ウイルス自体から取り出したRNA配列を含む。このRNAにより、細胞は新型コロナウイルスの大きな「スパイク」タンパク質を産生するようになる(新型コロナウイ …
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