英国、ファイザーの新型コロナワクチンの接種を開始
英国は12月8日、介護施設職員と80歳以上の高齢者を優先対象とする、ファイザー/バイオンテック製新型コロナワクチンの接種を開始した。 by Charlotte Jee2020.12.14
12月8日、英国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が開始された。英国はファイザーとバイオンテック(BioNTech)が共同開発したワクチンの供給を、承認から1週間足らずで大規模に開始した最初の先進国となった。ワクチン接種の優先的対象者は介護施設職員と80歳以上の高齢者とされており、 90歳の女性マーガレット・キーナンがコベントリー大学病院で、臨床試験外では初の接種を受けた。英国はファイザー/バイオンテック製ワクチンを4000万回分発注しており、人口の約3分の1にあたる2000万人が接種を受けられる。英国政府は12月中に計400万回分のワクチンを調達できると見込んでいる。英国ではCOVID-19による死者数が欧州最多を記録しており、6万人以上が亡くなっている。また、規制当局は現在、アストラゼネカ(AstraZeneca)とオックスフォード大学が共同開発したCOVID-19ワクチン候補についても、緊急使用の許可を検討している。
ファイザー/バイオンテック製ワクチンは特殊な冷蔵装置を使用して-70 °Cで保管しなければならないことから、接種のプロセスは複雑なものとなっている。ワクチンは975回分が1箱として供給され、現時点では小分けにできないほか、各個人が3週間の間をあけて2回ずつ接種しなければならない。こうした事情から、ファイザー/バイオンテック製ワクチンの接種は当初、全国の医療機関50カ所で実施されている。
米国食品医薬品局(FDA)のワクチン諮問委員会は、12月10日、ファイザー/バイオンテック製ワクチンの緊急使用の許可を支持した。FDAはモデルナ(Moderna)製のワクチンについても、17日までに緊急使用の可否を決定する。中国とロシアはすでにワクチン接種を開始している。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。