KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
大統領選は終わっても、陰謀論は終わらない
AP
カルチャー 無料会員限定
The election is over, but voter fraud conspiracies aren’t going away

大統領選は終わっても、陰謀論は終わらない

大統領選挙の投票日から1カ月が経ち、政治的なデマや誤情報の量は減ってはいるものの、いまだ完全になくなったわけではない。くすぶり続ける「不正選挙」の不満は、民主主義への信頼を損ない、デマを利用した選挙運動の躍進を招く可能性がある。 by Abby Ohlheiser2020.12.14

2020年の大統領選挙における敗北を、陰謀論をあおって覆そうと試みたトランプ大統領の計画は、ジョー・バイデン候補が僅差で勝利した、ウィスコンシン、アリゾナ、ペンシルバニア、ミシガン、ネバダ、ジョージアの6つの州を対象にしたものだった。現在、この6つの州のすべてが、開票結果の公式な認定を済ませている。トランプ大統領の圧力による再集計によって、バイデン候補の得票数が逆に増えたことすらあった。

開票結果の確認と相関して、選挙に関するデマも減少している。だがメディア情報企業のジグナル・ラボ(Zignal Labs)によると、不正関連の主張は減ってはいるものの、すっかり消えてしまったわけではない。それどころか、いまだに広く共有されている状態だ。ジグナル・ラボが収集したソーシャルメディア、放送、従来型メディア、オンライン・サイトのデータベースには、不正選挙の訴えに関する言及が11月末から12月始めの7日間で190万件以上記録されている。さらに、右翼の大物や、ランド・ポール上院議員のツイートに見られるような政治家のツイートは、今でも数万件単位でシェアされている。次に、何が起こるのだろうか?

デマは消えない

「こうした社会的混乱が収まることはないと思います」とノースカロライナ大学図書館情報学部のフランチェスカ・トリポディ助教授は話す。むしろ、トランプ大統領の選挙を「盗まれた」という主張を信じる有権者は、今後数カ月のうちに「ますます、決意を強めて」行動を起こすだろうと言う。

シンクタンクのウィルソン・センター(Wilson Center)で特別研究員としてデマを研究するニーナ・ヤンコウィッチは、心配すべきなのは、選挙結果に異議を唱えるコンテンツの量だけではないと指摘する。ヤンコウィッチ研究員はむしろ、現在起こっていることが、トランプ大統領支持層の民主主義への見方への長期的な影響を懸念する。「この先長い間、民主主義のプロセスに対する信頼が低下することになるでしょう」とヤンコウィッチ研究員は言う。「こうした言説が永続化されてしまうと、今後トランプ支持者たちが民主的プロセスを信頼することは難しくなるでしょう」。

トランプ大統領は再選を逃したかもしれないが、自分たちの利益のために誤情報を利用した政治運動のすべてが、選挙で退けられたわけではない。ある著名なQアノン(QAnon)の推進者が …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  3. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る