米国、新型コロナワクチンは6月までに「全員接種可能」
新型コロナウイルスのワクチン製造レースに莫大な投資をした米国では、来年6月には希望者全員がワクチンを接種できるようになるという。だが、「買い占め」批判や懐疑的な見方もある。 by Antonio Regalado2020.12.08
米国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを推進している関係者が、ワクチンの接種を望む全米国人は、7カ月後の6月までには予防接種ができるだろうと述べた。
この強気な見通しを表明したのはポール・オストロウスキー退役中将だ。ワープ・スピード作戦でワクチンの供給・生産・流通の責任者を務めるオストロウスキー退役中将は、11月30日月曜日のニュース専門放送局MSNBCに出演してこう発言をした。
「その時点までには、ワクチンを希望する米国人100%が予防接種できるでしょう」。オストロウスキー退役中将はまた、その実現のため、米国は3億回分以上のワクチンを確保するともつけ加えた。
オストロウスキー退役中将の言葉どおりに事態が進展すれば、パンデミック終息へ向けた明るい兆しとなるだろう。しかし、これは同時に世界各地でワクチンの手に入る場所と、手に入らない場所が発生する時期の到来も示している。世界保健機関(WHO)は声明の中で、予防接種は「一部の国の全国民を優先して、他の国の人々を待たせる」のではなく、国や地域を問わず感染や死亡リスクが高い人々を優先するべきだとしている。
ジュネーブを本拠とするWHOは、ワクチンを購入して世界のおよそ200の国・地域(そのうちの半分は貧しい地域)に配布するという計画に参加している。しかし、世界の人口すべてをカバーできる規模での予防接種が実現するのは、2022年になるだろうと述べている。「今後6カ月間は、ワクチンの供給が大変不足するでしょう。そして世界人口の15%から20%をカバーできるようになるまでには1年かかるでしょう」。
現状では、ファイザーとバイオテクノロジー企業のモデルナ(Moderna Pharmaceuticals)の遺伝子ワクチンのどちらもが、新型コロナウイルス感染症の発症例の約95%を予防したという劇的な成果を上げ、米国食品医薬品局(FDA)の承認を待っている。
今後数カ月間、この2つのワクチンの供給量は限定的なものになるが、米国はファイザーが最初に供給するワクチンの大部分と、モデ …
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