リサ・ロングは免疫不全を抱えており、慢性疼痛に悩まされている。そのため、3月から続く米国の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の大規模な感染拡大を受け、彼女は11歳と14歳の娘を含む家族全員と離れてセントルイス(ミズリー州)郊外の自宅に隔離状態となっており、時折の通院を除いては外出もしていない。感謝祭(11月26日)に家族の元を訪れるなど論外だ。
しかし、感謝祭でロングは、ユタ州とコロラド州に住む姪や甥たちと顔を合わせる。子どもたちに人気のビデオゲーム・プラットフォーム「ロブロックス(Roblox)」にある、家を建て、バーチャル世界で人生を送るシミュレーションゲーム「ブロックスバーグ(Bloxburg)」で夕食を共にする。ロングは数カ月前から娘たちや従兄弟たちと一緒にブロックスバーグでの家造りに取り組んでおり、その努力が「ブロックスバーグ感謝祭」につながるとロングは言う。
「みんなで七面鳥を料理し、大きなテーブルを用意するつもりです」とロングは話す。「できるだけ親戚をたくさん集めてロールプレイをして、一緒に食事をします」。
ロングは、2020年に「通常の」感謝祭を祝えない大勢のうちの1人だ。各州政府は家族での旅行はやめて自宅で過ごすように要請しており、米国疾病予防管理センター(CDC)も急増する新型コロナウイルスの感染率を抑えるために旅行を控えるように勧告を出している。
要請や勧告は、事実上、感謝祭の再考を意味している。チャットやビデオ会議アプリ「ズーム(Zoom)」のリンクを家族や親しい友人に送り、決められた時間に一緒に食事をするのは簡単かもしれない。しかし、「また、ズームか」と拒否感を示す人がいたとしても仕方ないだろう。
結局のところ、「ズーム疲れ」は現実なのだ。マイクロソフトをはじめとする各企業は、我々がよく見慣れた参加者が映っている四角い画面を並べただけの映像にしないために、一緒のテーブルについているように画像を重ね合わせるといった取り組みをしているが、実際のところ、複数の相手の顔を長時間見つめ続けるのは疲れてしまうのだ。このパンデミックの中で8カ月間を過ごしてきた我々は、ズームにログインすると脳に「仕事モード」の信号を送ってしまう可能性がある。それは精神的な不安定を引き起こしかねず、感謝祭にはまったく望ましくないのだ。
こうしたことを踏まえ、人との距離を保ちつつ最高の感謝祭、そして年末年始のホリデー・シーズンを過ごすためのアイデアを紹介しよう。
ズームではないオンライン空間の発見
このパンデミックにおいて、ビデオゲームは独自のソーシャルメディア・プラットフォームや人々の集いの場として頭角を現してきた。もっともアクセスが容易で、家族で参加しやすいゲームの1つが「あつまれ どうぶつの森(通称、あつ森)」だ。あつ森をプレイするには、ニンテンドー・スイッチが必要だ。プレイヤーはかわいいアバターに扮し、自分の家を建てたり、島を散策したりできるほか、望めばほかの島に「旅行」もできる。
スイッチを持っていなければ、大勢の家族が楽しんでいるロブロックスにログインすれば、同じようにつながりの機会を与えてくれる無数のゲームをプレイできる。家造りシミュレーションゲームのブロックスバーグのほかにも、競技スポーツや、ファッション中心のゲームなど、ラインナップは豊富だ。ロブロックスはインターネット接続さえあれば利用できる。
あるいは、今年の秋、もっとも人気があるゲームを体験したければ、グループ全員にグーグル・プレイストアか、アップストア(App Store)で「アマング・アス(Among Us)」をダウンロードしてもらおう。プライベート・セッションには最大8人が参加でき、そのうちの1~3人が他のプレイヤーたちの暗殺を狙う「インポスター(詐欺師)」に選ばれるというゲームだ。犯罪推理のボードゲーム「クルー(Clue)」とミステリー映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(Knives Out)』が融合したような内容だと考えればいいだろう。ゲーム内では定期的にインポスターが誰かを推理する会議が開けるので、そこで感謝祭の慣習について語り合ってもいい。
他の選択肢としては、人気のバーチャル・パーティ・ゲーム「ジャックボックス(Jackbox)」がある。ログインすればジェスチャーゲームや、お題の絵を描いて参加者に当ててもらうゲームの「ピクショナリー(Pictionary)」を彷彿とさせるゲームをプレイできる。
勝敗に強いこだわりがある親戚と …