KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
協調型ロボットに「心の理論」は不要か?単純化で優れた結果に
Ms Tech | Getty, Pixabay
人工知能(AI) Insider Online限定
The key to smarter robot collaborators may be more simplicity

協調型ロボットに「心の理論」は不要か?単純化で優れた結果に

ロボットを現実世界で使えるようにするための研究ではこれまで、相手の考えをモデル化して動きを予測することに重点が置かれてきた。しかし、相手の動きを単純化して把握することで、自動運転車のシミュレーション試験などでより優れた結果を出せる手法をスタンフォード大学の研究者らが考案した。 by Karen Hao2020.11.27

車を運転しているときに頭の中で無意識に実行している処理を、すべて思い浮かべてみよう。周りの車両の情報を取り込みながら、それらがどう動くかを予想すると同時に、予想した相手の動きへの対応を考えているはずだ。ひょっとしたら、自分の行動について他のドライバーが予想しているであろうことを基に、自分が周囲の動きにどう影響を与えうるかということまで考えているかもしれない。

もしもロボットを人間社会に溶けこませようとするのなら、ロボットにもこれと同じことができなければならない。スタンフォード大学とヴァージニア工科大学の研究者たちは、ロボットのこうした行動モデリングに役立つ新たな手法を提案し、11月14日から16日に開催された年次国際会議「ロボット学習会議(Conference on Robot Learning)」で発表した。この手法では、ロボットは他の行為主体の動きを詳細にとらえるのではなく、大まかにまとめて把握する。そうすることで、負荷の重い演算を実行してもたもたすることなく、周囲がとる行動とそれに対する自身の反応をすばやく予測できるのだ。

異なる心の理論

ロボットに人間との共同作業をさせるための従来の手法は、「心の理論」と呼ばれる心理学の考え方から着想を得たものだ。心の理論では、人は幼い子どもの頃に相手の考えを理解するスキルを身に着けて成長することで、互いに関わり合い、共感し合うのだということが示されている。この理論にくみする研究者らは、ロボットが協調相手の行動を予測するための基礎として、相手の潜在的な意図をモデル化することに重点を置いている。

スタンフォード大学のドーサ・サディ助教授は、この考え方は実用的でないと考えている。「人間同士のやりとりを考えてみると分かりますが、実際にそのように振る舞っ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る