米国が選挙に夢中になっている間、中国は買い物に夢中になっていた。11月1日から11日まで、中国トップの電子商取引巨大企業、アリババ(阿里巴巴)とJD(京东)の両社は、年の一度の稼ぎ時である「独身の日」(11月11日)に1150億ドルを売り上げた。2009年にアリババが始めたこの「お祭り」の1150億ドルのうち、741億ドルが同社の売上だ。昨年と比較して売上は26%増えた。比較のためにアマゾンの48時間のプライムデー(10月13、14日)の売上を紹介すると、今年、アマゾンは100億ドルの大台を超えたに過ぎない。
この巨大なお祭りの規模からすれば、物流計画だけでも奇跡のようなものだ。アリババとJDは、買い物需要を予測したり、商品のグローバル調達を最適化したり、世界中の配送を効率化したりするため、人工知能(AI)などのテクノロジー・インフラに巨額を投じている。これらのシステムは通常、独身の日のピークに合わせて拡張される前に、1年を通じてテストと改良が行なわれている。だが今年、両社は課題に直面した。パンデミック(世界的な流行)による購買行動の変化を計算に入れなければならなかったのだ。
新型コロナウイルスが発生した当初数週間、両社はAIモデルの奇妙な振る舞いに気づいた。パンデミックが襲ったのは中国の春節(旧正月)に当たる時期で、本来なら数億人もの人々が新年の買い物をしてい …