ドナルド・トランプ大統領は11月12日に、ドミニオン・ボーティング・システムズ(Dominion Voting Systems)という企業の投票機が全国各地のトランプ票を何百万票と削除したという主張をツイッターで投稿した。投稿は全て大文字で書かれていた。トランプ大統領の主張は事実ではないが、大統領の発言には影響力はある。選挙管理人によると、選管たちは自分たちの身の安全に怯えているという。大統領支持者たちから殺害の脅迫を受けているのだ。
独立した連邦政府機関である米選挙支援委員会(EAC:Election Assistance Commission)のベンジャミン・ホブランド委員長は、投票機について詳しい。EACは選挙に関する様々な仕事の一貫として投票機のテストや認証を実施しており、投票システムの基準を作成し、投票機のセキュリティや使いやすさ、安全性についても研究室でテストしている。ホブランド委員長によると、選挙結果を左右するほどに大規模な不正行為や誤作動事故はなかったという。トランプ大統領の主張を実際に裏付ける証拠は、大統領本人からも大統領の弁護団からも出されていない。弁護団は選挙結果に異議を唱えようとしてきたが、成功には至っていない。
ホヴランド委員長は、MITテクノロジーレビューのインタビューに応じ、選挙後に何が起こったか、そしてホワイトハウスから発信される異常ともいえる量のデマについて話し、大統領が法を悪用することから生じる不幸、選挙セキュリティ担当者たちの将来、ドナルド・トランプ大統領へのメッセージを語った。
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——ドミニオンがトランプ票を270万票削除したと大統領がツイートしたのを見て、どう思われましたか?
まず第一に、かなり不可解な主張だと思います。第二に、そのような主張がなされるのであれば、実際に信頼できるような裏付けを何らかの形で示してほしいものです。この手の発言は重要だと思います。米国民が選挙プロセスに対する信頼を失う原因となりますから。
本当に懸念すべきことです。大統領の訴訟内容を見てください。マイクの前やツイッターの前で見られるものと、法廷や裁判官の前で見られるものは、全く異なっています。人々が目や耳にするのは、ツイッターや演壇上での大胆な発言と、うわさと、法廷に提出されるお笑い種の証拠です。そしてこの3つの間には、ともかく関連性がないのです。
これは今に始まった話ではありません。2016年大統領選を振り返ってみてください。トランプ大統領は、自分が一般投票に負けたのは、選挙権を持たない不法移民や非市民が何百万と投票したからに違いないと主張しました。そうした何百万人という不法移民や非市民を見つけ出して不正投票があったことを証明するために、大統領委員会が立ち上げられました。委員会は何も発見できせんでした。きまり悪さの中で、委員会は解散されました。私たちはこうしたことを何度も何度も見てきました。大規模な不正投票があったという証拠は、これまでどこからも見つかっていません。
率直に言って、選挙を運営管理している人たちに失礼だと思います。この種の主張をするのは、選挙管理人のプロとしての高潔さに対して失礼です。証拠を出していないのですから、なおさらです。提起されたものは、すぐに反証されています。大半が陰謀論にすぎないからです。もし何かあったのなら、選挙管理人は真相を誰よりも究明したいと思うでしょう。選挙管理人は選挙プロセスの完全性を大切にしており、公平な選挙により有権者の意思が確実に反映されるようにしたいと思っているからです。
——先日、CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)のクリス・クレブス長官が、選挙の誤情報にリアル …