GAFAにとってバイデン新政権の誕生は何を意味するのか?
次期大統領であるジョー・バイデンは、選挙期間中、巨大テック企業への規制についてあまり口にしなかった。実際のところ、テクノロジー政策は次期大統領の最優先課題ではなさそうだが、グーグルに対する政府の訴訟は今後も続くだろう。 by Eileen Guo2020.11.16
米国のジョー・バイデン次期大統領は、大統領選挙期間中、テクノロジー業界に対して比較的静かな姿勢を貫いていた。
2020年1月のニューヨーク・タイムズ紙の編集委員とのインタビューでバイデンは、通信品位法第230条の廃止を望んでいることを明らかにし、シリコンバレーと接近しすぎたオバマ政権とは異なる考えを持っていることを示した。バイデン次期大統領はテック企業の重役らを「少し気味の悪い人間たち」と呼び、「あまりにも傲慢」な態度を取っていると発言した。だが、大統領選におけるバイデンに対する献金団体のトップ10には複数のインターネット企業が含まれており、テクノロジー業界の関係者が陣営に参加していた。また、次期副大統領のカマラ・ハリスは、サンフランシスコ市の地方検事を務めていたこともあり、シリコンバレーとは長い付き合いがある。
しかし、オバマ政権で米国連邦通信委員会(FCC)委員長を務めたトム・ウィーラーの相談役、ジジ・ソーンによると、ブロードバンド接続、気候政策、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を除けば、テクノロジー分野はバイデンの中で優先順位は高くないかもしれないという。
ソーンは、バイデンは政権を握った初期段階では、その他の重要な問題を引き継いでそれらに注力していくはずであり、そうすべきだと言う。「インターネットの悪い点について語ることはできますが、それでもインターネットは必要です。すべての米国民が安価なブロードバンドにアクセスできるようにすることの方が、(インターネットを規制することよりも)重要だと思います。インターネットは今や、国民にとって生きるため、働くため、学ぶため、医師の診察を受けるために必要なものだからです」
11月8日朝、最初のネットワーク局がジョー・バイデンの当確を報じてから24時間と経たないうちに、バイデン次期大統領は政権移行にあたっての課題を詳細に示したWebサイトを公開した。そこで示された優先課題は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、景気回復、人種平等、気候変動の4つだった。テクノロジーについても簡単に触れられているが、焦点は巨大テック企業の規制ではなく、ブロードバンド・インターネットの拡大に絞られている。
では、バイデン政権でテック関連の規制はどうなるのだろうか? はっきりしていないが、注目に値する点はいくつかある。
グーグルに対する訴訟は続く
10月下旬、司法省が満を持してグーグルに対し、反トラスト法違反を理由に訴訟を起こした。専門家の間ではこの訴訟自体の効果について意見が割れているが、バイデン政権下でも訴訟が続くだろうという点では見解は一致している。一部では、むしろその動きが強化されるのではないかという意見も出ている。特に、ニューヨークをはじめとする複数の州が独自に訴訟を起こすと予想されており、これが司法省の動きと連携する形になる可 …
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