この「ビューティフル・ザ・ワールド」の歌詞は、決してキャッチーなものではない。だが、5、6回聴いた後にはコーラスが私の頭にこびりつき、床を足でトントン踏み鳴らしていた。「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)」の歌や、コアラやワライカワセミの鳴き声のデータセットで訓練された人工知能(AI)が生成したメロディにしては悪くない。
ビューティフル・ザ・ワールドは、オランダの放送局であるVPROが今年5月に開催したAIソング・コンテストで優勝した楽曲だ。同コンテストでは世界中から13チームが出場し、AIの助けを借りてポピュラーなヒットソングの作成を試みた。
ビューティフル・ザ・ワールドを作ったのは、「アンカニー・バレー(Uncanny Valley、「不気味の谷」という意味)」というオーストラリア出身の音楽家とコンピューター科学者のチームだ。人間による作詞・作曲とAIの助けの両方を利用している。「彼らの音楽にはわくわくしました」。グーグルブレイン(Google Brain)のAI研究者で、コンテストの審査員の1人を務めたアンナ・ファン博士は言う。「ハイブリッドな取り組みがとても輝いていましたね」
https://www.youtube.com/watch?v=sAzULywAHUM
近い将来におけるAIの有用性は、人間と機械のチームが互いにそれぞれの強みを生かしながら協働するコラボレーションによって生まれると、多くの人が考えている。「AIは時には補助者、単なる道具になることがあります」。グーグルブレインのファン博士の同僚で、人間とコンピューターの相互作用を研究しているキャリー・カイ博士は話す。「あるいは、AIは協力者や、同じ部屋にいるもう一人の作曲家にもなれます。AIは人の能力を向上させ、強力な力を与えること …