KADOKAWA Technology Review
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死後は土に還る「堆肥葬」、
米スタートアップが開始
Ian Allen
生物工学/医療 無料会員限定
The startup turning human bodies into compost

死後は土に還る「堆肥葬」、
米スタートアップが開始

人間の遺体を堆肥化する「堆肥葬」サービスが、米国ワシントン州で始まる。サービスを提供するスタートアップ企業リコンポーズのカトリーナ・スペードCEOは、MITテクノロジーレビューのインタビューに応じ、堆肥葬に対する想いを語った。 by Britta Lokting2020.11.13

カトリーナ・スペードCEOが初めて人間の遺体を堆肥化してから5年。スペードCEOの奮闘とロビー活動が功を奏し、土葬または火葬の代替手段としての「地上分解」が、ワシントン州で合法化された。米国では初の事例である。別名「自然有機還元」とも呼ばれるこの方法では、亡骸を土に還す。

スペードCEOは2017年、人間の遺体の堆肥化に取り組む企業リコンポーズ(Recompose)をシアトルで立ち上げた。リコンポーズは、5500ドルを費やす意思と財力のあるすべての顧客に、遺体の堆肥化サービスを提供する。5500ドルは、ほとんどの葬儀よりもはるかに安い金額だ。

スペードCEOにとって、このビジネスは気候変動との闘いである。米国において、墓地は推定40万ヘクタールの土地を占めている。棺は毎年160万ヘクタールの森林を破壊し、土葬には3000万枚の木板と300万リットル以上の防腐処理液が使用されている。リコンポーズの持続可能性アナリスト兼顧問であるトロイ・ホトル博士によると、1人の遺体を堆肥化することで二酸化炭素の排出量を0.84〜1.4トン削減できるという。1トンの二酸化炭素排出は、石炭500キログラムの燃焼、または乗用車の4000キロメートル走行に相当する量だ。

堆肥葬を認めるワシントン州の法案は2020年の初めに施行され、リコンポーズが2020年11月に予定している遺体の受け入れ開始に間に合った。MITテクノロジーレビューは、人間の遺体の堆肥化の仕組みと環境への影響、そして堆肥葬が今後普及するかについて、スペードCEOに話を聞いた。

◆◆◆

——あなたは人間の遺体の堆肥化をビジネスとして探求した第一人者です。何がきっかけでこの方法を思いついたのですか?

自分の死について考えたとき、従来方式で埋葬されることに興味がありませんでした。火葬は、死後に人間がこの世に遺したものを破壊する行為だと、ふと思ったんです。人間の遺体に残った養分がすべて火葬時に焼却されるのは「私のやりたいことと反する」と感じました。

このように葬儀について考えていた時期に、友人から連絡がありました。そして、農場では牛の死体が丸ごと堆肥化されている話を聞きました。牛の死体の堆肥化は、米国の農場で何十年にもわたって実施されてきたことです。そのとき、牛を堆肥化できるなら、きっと人体も堆肥化できるだろうとひらめいたのです。こうして私は、農場で利用されてきた堆肥化の原理を取り入れ、それを人間の「デスケア」システムに応用することを始めました。

——2020年11月に最初の遺体を受け入れることになっていますが、今の心境はいかがですか?

私たちはワシントン州立大学と共同で予備研究を実施し、すでに6人のご遺体を受け入れて土に変えました。ですから、11月に受け入れるご遺体が世界初のものではありません。このテクノロジーにはとても自信がありますが、実際に遺体を土に返すのは自然の力です。私はこれまで何度もその過程を目にしてきたので非常に楽しみですが、少し不安もあります。

——デスケアについて考え始めたのは、大学院で建築を学ばれていた時だそうですね。どのような経緯だったのでしょうか?

しばらくの間、私は堆肥化に夢中になっていました。建築を …

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