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月への回帰、宇宙軍——
トランプ政権の宇宙政策とは
何だったのか?
The White House
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The five biggest effects Trump has had on the US space program

月への回帰、宇宙軍——
トランプ政権の宇宙政策とは
何だったのか?

派手好きなトランプ大統領は4年間で米国の宇宙開発計画にさまざまな影響を与えた。以前の政権からの流れを踏襲するものも少なくないが、そうした流れを加速させ、宇宙開発計画に勢いをつけたことは間違いない。 by Neel V. Patel2020.11.09

米国の宇宙計画は、リチャード・ニクソン以降、どの政権からも些細な存在として扱われてきた。スペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)でさえ、政権や米国の生活様式の一時代を定義したアポロ計画とは比較するべくもなかった。

宇宙計画が政権を定義するようなものではなかったという意味では、ドナルド・トランプ大統領の第1期目(そしてこれが最後かもしれない)も同じだ。だが、トランプ大統領がホワイトハウスに居を構えるよりも前から、彼の陣営や宇宙関連コミュニティの政策顧問の一部からは、政権が宇宙計画の方向性に大きな関心を示す可能性があるとの声が聞かれていた。

確かに、いくつかの大きな変化があった。そうした新たな政策の多くはトランプ政権以前から動き出していたが、トランプ政権は宇宙関連のさまざまな物事を加速させ、数十年間動きのなかった宇宙計画に勢いをつけた。

再選するか否かに関わらず、トランプ大統領は宇宙計画に非常に大きな影響を与えた。次に誰がホワイトハウスの住人になろうと、トランプ大統領の影響は今後の4年間に現れてくるだろう。トランプ大統領が米国の宇宙計画に与えてきたさまざまな影響の中でも、特に大きかったものを5つ、紹介しよう。

1. 火星から月へ

2017年12月11日、トランプ大統領は宇宙政策指令(SPD: Space Policy Directive )第1号に署名した。これは米国航空宇宙局(NASA)に対し、有人探査計画に着手するよう正式に求めるものである。宇宙飛行士たちは再び月面へと戻り、継続的な滞在(要は月コロニーだ)への土台固めをすることになる。これは、2030年代に人類を火星へと向かわせ、移住を実現するための計画を立てるようNASAに要求したオバマ大統領からの方針転換となった。有人月探査計画では、次世代型ロケットである「スペース・ローンチ・システム(Space Launch System)」や、深宇宙有人探査機「オリオン(Orion)」といった、火星用に開発中の建造物を利用することになった。

2019年初め、トランプ政権は月へのミッションのタイムラインを2024年に前倒しした。2017年2月のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事では、「政権移行および産業担当の政府関係者によると、トランプ大統領の現在の4年の任期中に現実的に実行でき、幅広く有権者の支持を得られるようなプロジェクトに注力することが多くの政策オプションに共通しています」と書かれている。2024年の月面着陸を第2期目で実現させるためにはトランプ大統領は再選しなければならないが、もしそうなれば大統領としての彼の業績を決定づけるような業績となるだろう。しかしながら、大半の専門家の意見は、NASAがこの日程に間に合わせられる可能性は低くなってきているということで一致している。

だが、月へのミッションが理にかなっている理由についても議論されている。NASAのジム・ブライデンスタイン長官がよく語っているように、月は火星をはじめとする深宇宙を目指すミッションのための「演習場」なのだ。月に到達するのはそれほど難しいことではないうえ、低重力環境で長期的な地球外生活に必要な生命維持システムなどのテクノロジーを試験でき、未来の宇宙船の燃料生産拠点になる可能性もある。

惑星協会(Planetary Society)に所属する宇宙政策の専門家であるケイシー・ドライアーによると、オバマ政権時代に宇宙コミュニティの多くの人間は、直接火星を目指すのは「非常に大きな問題であり、そのための予算も全く足りず、何もしないよりも悪い状況になりかけている」と感じていたという。「オバマ政権は火星を目指すとは言うものの、その取り組みにほとんど何も寄与していませんでした」。

オバマ政権の末期には「月を目標にす …

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