ニューヨーク大学広告研究所(NYU Ad Observatory)は10月第4週、トランプ・バイデン両陣営の選挙運動で、フェイスブックの広告オーディエンスをターゲットとするために使っているデータの最新情報を発表した。その内容は例えば、18歳から65歳までの非常に幅広いユーザーから、リン=マニュエル・ミランダ(米国の作曲家、作詞家、劇作家、歌手、俳優)に関心があるといった具体的な特性にいたるまで、多くの特徴がごちゃ混ぜになったものだ。選挙運動では通常、各広告にこうしたフィルターをいくつか使って、投票の説得や集会などへの動員、選挙資金集めといった目的で、フェイスブック・ユーザーの特定のセグメントに広告を配信する。今回発表されたデータを見ると、2016年にケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)が採用した戦術と同様に、両陣営がフェイスブックを使った人物プロファイリングに多額の投資をしていることが分かる。また、選挙陣営がターゲットにしたい特定の個人プロフィールのリストをアップロードできることも示されており、研究からはこの方法が非常に一般的であることも明らかになっている。
選挙戦におけるターゲティング広告は、次のような仕組みになっている。選挙陣営は、有権者の投票傾向に関してデータ処理や予測をするモデルを使い、有権者にどのように働きかけるのかという戦略を練り上げる。そして、モデルから資金を提供してくれたり、投票を説得できたり、世論調査に参加してくれたりしそうなセグメントを識別する。一方フェイスブックは、広告主にユーザーをターゲティングするための一連の方法を提供する。例えば、基本的な人口統計学的フィルター、興味・関心のリスト、ユーザー・プロフィールのリストをアップロードできるオプションなどだ(フェイスブックは、ユーザーの「友達」やオンラインでの行動に基づいて、ユーザーが興味を持ちそうなテーマのリストを作成している)。選挙陣営は人物プロファイリングを利用して、識別されたセグメントをフェ …