トランプ政権、環境政策の撤回で温室効果ガス20億トン上積みか
持続可能エネルギー

Trump's rollbacks could add half an EU's worth of climate pollution by 2035 トランプ政権、環境政策の撤回で温室効果ガス20億トン上積みか

調査会社ロジウム・グループの新たな分析によると、トランプ政権が自動車排出ガスやメタンなどに関する規定を弱体化あるいは白紙撤回したことで、2035年までに温室効果ガスの排出量が20億トン近く上積みされる可能性がある。 by James Temple2020.09.23

米国のドナルド・トランプ大統領は、気候変動への対応で自国を後退させることに成功してきた。ますます壊滅的な被害をもたらす火災や熱波、干ばつとの闘いが世界的に繰り広げられているにもかかわらずである。

調査会社ロジウム・グループ(Rhodium Group)の新たな分析によると、同大統領が主な環境政策を後退させたことで、これらの政策が法的な課題をクリアして将来の政権でも問題視されなかった場合、2035年までに大気中に18億トン相当の二酸化炭素が放出されるという。これはロシアの年間の化石燃料排出をやや上回る量だ。もしくは、近年の欧州連合(EU)の年間排出量の半分以上に相当する。

これらの温暖化ガス排出増の原因は、大部分がバラク・オバマ大統領時代にいくつかの主要分野で実施された規制の白紙撤回にある。

これらは大きな変更点の一部に過ぎない。トランプ政権の行動から生じる気候汚染の実際の追加分がさらに大きくなることは、ほぼ確実だ。

結局のところ、この4年間にわたってトランプ大統領と同大統領に任命された人物が、環境に関する他の規定や実施形態、国際的な合意事項を多数覆したり、無力化したりしてきた。その中でもよく知られているのが、画期的なパリ協定からの米国の脱退や、石炭・天然ガスプラントからの排出を制限するオバマ政権の「クリーンパワープラン」の見直しだ。