エアビーアンドビー(Airbnb)は8月31日、「プロジェクト・ライトハウス(Project Lighthouse)」を立ち上げた。これは同社が提供するホームシェアのプラットフォーム上で「差別の発見、測定、そして克服」を目指す取り組みだ。同社によると、同プロジェクトは、宿泊客がどの人種に見えるかということが、その客に対する料金、予約・キャンセルの品質、レビューに相関関係があるかどうかを測定することで、差別の有無を特定するという。このプロジェクトは、ミネアポリスの警察官らによる5月25日のジョージ・フロイド殺害事件の後に広がった抗議活動を受けて、テック業界から連帯を示す声明と規約変更が相次いでいる真っ只中に発表された。
人種間の平等に対するテック企業からの賛同は、善意に基づくものかもしれない。だが一方で、ある問題点を浮き彫りにしており、これまでのテック業界の取り組みで本当に偏見を撲滅できるのか? という疑問を投げかける。その問題点とはすなわち、差別の原因は人種差別主義ではなく、人種という概念そのものに存在するとしがちであるということだ。
不平等に対するこの考え方は「レースクラフト」の象徴だ。レースクラフトは、社会学者のカレン・E・フィールズと歴史学者のバーバラ・J・フィールズが作り出した用語で、米国での人種と人種差別に関する「精神的な土壌と、蔓延する思い込み」を表す。この概念には多くの要素があると両氏は説明するが、基本的な主張は、人種という概念そのものが、生物学的事実ではなく人種差別主義者の慣行から生まれるというものだ。「レースクラフトは、人種差別問題を人種問題に転嫁することで白人を舞台から遠ざけ、黒人だけを視野に入れさせるという巧みなトリックです」と2人は記している。
その好例が、エアビーアンドビーによるプロジェクト・ライトハウスの紹介文だ。同社は「予約手続き中に肌の色が原因でエアビーアンドビーのホストに拒否されたという旅行者の話を深く憂慮していました」と記している。しかし、ゲストが拒否された原因は本当にゲストの肌の色だったのだろうか? それとも、予約しようとしていた宿泊先のホストが人種差別主義者だったからなのか?
同じような巧妙な言い回しが、インスタグラムのアダム・モセリCEO(最高経営責任者)の声明にも見られる。同CEOは、黒人の声を聞き入れられるようにするインスタグラムの取り組みは「人種のみを根拠として受ける格差だけに留まらない」と述べている。
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