カリフォルニア州全域での数千回におよぶ落雷によって数百件もの火災が発生し、サンフランシスコのベイエリア周辺で大きな被害を出している。
炎は瞬く間に数十万エーカーに燃え広がり、空は煙で覆われ、地域の大部分に灰が降り注ぎ、数千人が避難を余儀なくされている。
火災は、カリフォルニア北部のからからに乾燥した冬と、州全体で過去最高の熱波を記録した夏が続き、草地や森林が燃えやすい状態になっていたところに発生した。地獄のような山火事は、カリフォルニア州史上最も破壊的で致命的な山火事シーズンが続いたあとに起きたものだ。
この一連の出来事によって再び浮上するのが、「人間が引き起こした気候変動のせいなのか?」「気候変動のせいで今回の火事が起こりやすくなったのか? あるいはより深刻になったのか?」という疑問だ。
長年、地球温暖化と特定の異常気象を結びつけることに抵抗してきた気候科学者らも、今ではほぼ間違いなく温暖化の影響だと述べるようになった。
バークレー大気科学センター(Berkeley Atmospheric Sciences Center)のデビッド・ロンプス所長はメールで、私たちは根本的に気候が変化した世界に生きていると述べた。ロンプス所長は、この時期の1日の平均気温は、カリフォルニア州バークレーでは、20世紀初めに比べて華氏3~4度(摂氏1.68~2.24度)も上がっていると指摘した。ロンプス所長は2014年にサイエンス誌に掲載された論文の筆頭筆者でもあるが、この論文では、気温が摂氏1度上昇するごとに米国全土で落雷数が約12%増加する可能性があることを発見している。
ロンプス所長は「単刀直入に言いましょう。熱波、落雷、それに植生の乾燥は、間違いなく地球温暖化の影響を受けています」と述べる。「地球温暖化のせいで、明らかに猛暑や落雷が増え、空気がより乾燥したのです」。
一方、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の気候科学者ダニエル・スウェイン博士は、最近の雷雨は北カリフォルニアでは非常に珍しく、気候変動が火事の原因になっているかどうかを判断するのは難しいという。
しかし、いわゆる異常気象のアトリビューション研究では、気候変動によって熱波が深刻化したことで、山火事が激しく急速に燃え広がるような条件を作り出していることは、何度も繰り返し明らかになっている。
スウェイン博士は、「基本的には、気候変動が熱波の悪化や発生頻度に大きな役割を果たしているのは明確です」と述べる。「それがどの程度なのかが問題なのです」。
世界気象アトリビューション(World Weather Attribution:WWA)の研究者で、オックスフォード大学環境変動研究所のフリーデリケ・オットー所長代理は、メールでこの見解に同調した。「今のように極端に高い気温は、人為的な気候変動がなければ発生しなかったであろうことは疑いの余地がありません。熱波に関しては、気候変動が絶対的なゲームチェンジャーであることは、膨大な数のアトリビューション分析によって証明されており、カリフォルニア州も例外ではありません」。
スウェイン博士が共同で執筆した、英学術誌「エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ(Environmental Research Letters)」の最新論文によると、過去40年間で気温の上昇と降水量の減少が複合的に作用した結果、カリフォルニア州では秋に山火事が発生するリスクがすでに2倍になっている。今すぐ世界が大幅な排出量削減に着手しない限り、今後数10年でリスクがさらに2倍になることも明らかになっている。