ウーバーは、自律型タクシーと配送車両の開発競争をリードしているように見える。しかし、ふたつの特許の存在は、アマゾンやグーグルといった大手テック企業に、取り残されるつもりが毛頭ないことを示している。
どちらの特許も最近公開されたばかりで、最初の出願は2015年だ。ウーバーが過去12カ月にわたって自動運転サービスのイノベーションについて話題をさらってきたように見えて、他の企業が必ずしも怠けていたわけではないことがわかる。
グーグルはすでに、サンフランシスコで小規模の自動車相乗りサービスを試験中であり、新規公開の特許では、自動運転車と配車アプリの組み合わせ方を記述している。特許が解決する問題は、人間のドライバーのように、自動運転車が安全かつ正確に乗客が立っている場所に移動できない場合、どうやって乗客を拾う場所を決めるか、である。
アルファベット(グーグル)の自動運転車部門であるウェイモ(Waymo)は現在、自動車メーカーと協力して、自社のテクノロジーの商用化を狙っている。つまり、アルファベットにはもはや独自の自動車の製造計画はない。とはいえアルファベットは、2017年中には自動運転型に改造されたクライスラーの「パシフィカ」で試験を始める予定だ。
したがってウェイモは、ピッツバーグで自律型タクシーを試験中(中止されたがサンフランシスコでも一時期実験した)のウーバーと直接対決することになる。ウェイモは、実験を進めるために、グーグルの特許に記載されているテクノロジーを利用することもあるだろう。
一方、アマゾンが申請した特許にはリバーシブル・レーン(交通量の増減に対応するため、中央車線の進行方向を朝晩などで切り替える方式の道路)に自律自動車が対処する方法が記載されている。リバーシブル・レーンは、比較的狭い道路の交通量を最適化するための運用手法だが、自律自動車は何らかの理由でリバーシブル・レーンの進行方向の変更を認識できない可能性がある。
この問題に対するアマゾンの解決策は地味(データベースと連携するだけ)で、アマゾン自身には重要でも興味深くはない。以前から、ネット小売り最大手のアマゾンが独自の自動運転計画に取り組んでいる噂はあった。アマゾンと自動運転の取り合わせは、流通網の拡充を目指すアマゾンの全体構想とも確実に一致する。新しい特許によって、アマゾンが自動運転に参入する憶測に信憑性が増した。
ウーバーはアマゾンとも競合することになるだろう。ウーバーは、買収以前からオットーが開発した自律型セミトレーラーを支援しており、タクシー業界同様の変動制の運賃をトラック業界に持ち込む計画がある。
その後、ウーバーは自動運転サービスを一般向けに提供し始め、商品や人の輸送を自動化する競争の最前線にいるように見せている。だが、長期的には、真剣な競争を振り切るまでには至っていないようだ。
(関連記事:The Guardian, The Verge, “試験中の自動運転タクシーはしばらく試験中のままな理由,” “ウーバーとアマゾン 世界の運輸業界に殴り込み,” “グーグル、自動運転車テクノロジー事業化で新会社設立”)