英国イングランドの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)接触者追跡アプリは、技術的な問題が原因で前のバージョンの計画が白紙撤回されたが、ようやく改良版の一般市民による試験運用が始まった。英国保健省によると、8月13日にワイト島の住民向けに新しいプログラムの運用が開始され、まもなくニューアム・ロンドン自治区の住民もプログラムを利用できるようになる。
これはイングランドの接触者追跡アプリの運用に向けた2回目の試みとなる。最初の試みを6月に断念したのは、接触者追跡アプリがアイフォーン(iPhone)で意図したように動作せず、アップル製デバイスの4%しか検出できないことが判明したことが理由だ。その後、英国は、独自の中央集権型システムから、こうした問題のないアップルとグーグルが開発した非中央集権型APIに切り替えた。だが、BBCの報道によると、新しいサービスの開発に取り組んでいる開発者は、お互いが1.8メートル以内にいるとしてBluetoothベースのアプリが誤って頻繁に警告を発するのを減らそうと四苦八苦している。イングランドの全住民5600万人がいつアプリを使えるようになるのか、あるいは、そもそも使えるようになるのかどうかは不明だ。英国の他の地域(ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)は、それぞれ独自のアプリを開発中か、すでに開発済みだ。
イングランドが新たに開発したアプリも大半の自動化された曝露通知アプリと考え方は同じだ。人々の携帯電話が発するBluetooth信号を利用して、人々が互いの近くにいたかどうかを監視する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査結果が陽性だった人がシステムにそのことを通知すると、システムが濃厚接触者に警告を発する仕組みである。イングランドのアプリは、人々がレストランやパブなどの施設に入ったときに、そのことを登録するQRスキャン機能も備えている。その施設で感染者集団が発生した際に、登録した人たちに後から警告を出すことができる。
各国は依然として、ほとんどの場合で、アプリよりも、電話を使った手作業による接触者追跡に頼っている。だが、手作業による追跡調査では、感染者の知り合いや感染者が連絡先を知っている人しか追跡できない。接触者追跡アプリに寄せられている大きな期待は、例えば電車やバスで感染者の近くに長時間いた場合など、見知らぬ人との接触を把握できるようになることだ。英国は、この種のアプリの導入に成功したドイツなどの国に助言を求めて過去の失敗から学ぼうとしている。