人工知能分野への投資で、中国企業が米国を追い越す勢い
中国では、大手インターネット企業もベンチャー企業も、AI分野に資金を投じている。 by Jamie Condliffe2017.01.18
今年、中国は人工知能と拡張現実(AR)で、これまで以上に大きな波を作り出しそうだ。
変化を率いているのは中国最大の検索企業バイドゥだ。すでにAI研究で相当な進歩を果たしており、1月17日には、マイクロソフトの陸奇(ルー・チー)元取締役が最高執行責任者(COO)に就任すると発表した。陸新COOはマイクロソフトでアプリケーションとサービス部門を担当していたが、ザ・バージによると、仕事の大半は人工知能とチャットボットの戦略を展開することだった。バイドゥは声明で「AIにおける世界的リーダー」になる計画の一部として、陸COOを採用すると述べている。
一方、バイドゥのアンドリュー・ング主任科学者は、ARの研究所を北京に新設すると発表した。コンピューター・ビジョンと深層学習を利用し、バイドゥは現実世界に数百万人が利用できるレイヤーを追加するARですでに進歩を果たしている。しかし新計画では55カ所もの研究所により、ARのマーケティング・ツール(将来的には、医療や教育用アプリケーションもあり得る)を構築することで売上高を増やそうとしている。
ただしバイドゥがAIやARで独走しているわけではない。昨年末、中国の大手インターネット企業テンセント(8億4600万人のアクティブ・ユーザーがいる大成功モバイルアプリWeChatの運営会社)は、強力なAI研究所を作ることにしたと発表した。今年もバルセロナで開催予定の「神経情報処理システム」カンファレンスで成果を発表し始める計画だ。
小さな会社にも資金が投入される。KPMGによると、中国のベンチャー企業向け投資は、今年AI研究に集中しそうだ。フィンテック・イノベーションの記事で KPMGのエジディオ・ザレラ・パートナーは「アジアで人工知能への投資額は日に日に増えている」と述べた。
同様の成長は中国の研究コミュニティで進行中だ。日本の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の調査によれば、2015年の有力な学術系カンファレンスで発表されたAIの研究数で、中国は米国に僅差で2位だとわかった。米国政府の報告書によれば、中国の研究者が「深層学習」に言及している論文の発表数は、すでに米国研究者による発表数を上回っている。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、自信家の中国人の投資ポートフォリオで、AIとARは「絶対に持つべき」と分類している。真面目な話、今年、多くの米国テック企業は競合を見定めようと東の方を見ることになるだろう。
(関連記事:Bloomberg, Reuters, 「米国政府も警戒する人工知能で進む中国企業のイノベーション」 「バイドゥは人工知能をどうビジネスに生かそうとしているのか?」 “バイドゥが「電脳コイル」を実現”)
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