米国で新型コロナの感染増加ペースが鈍化、集団免疫が一役か
米国で猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染増加ペースが鈍化している。集団免疫の獲得によって感染しやすい人が減っているためと考えられるが、パンデミックが一般に考えられているより早く収まるかどうかは疑問の余地がある。 by Antonio Regalado2020.08.14
米国では、すでに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した多くの人によって、被害の大きい州の感染拡大に歯止めがかかり始めている。
米国では、これまでに数百万人の市民が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスに感染し、16万人以上が死亡した。その結果として、感染しやすい人が多くの地域で激減してしまった。ウイルスに感染した人は(少なくとも数カ月間は)免疫を持ち、他人にウイルスを感染させることはないと考えられており、感染増加ペースは鈍化している。
ワシントン大学のパンデミック専門家であるトレバー・ベッドフォード准教授は、「アリゾナ州、フロリダ州、テキサス州で実質的なエピデミック(局地的な流行)が起こったことで、新型コロナウイルス感染症を十分に制御できる免疫が獲得されたと思います」と、8月7日の一連のツイートで述べた。「しかし、この免疫レベルではパンデミック以前の社会行動に完全に戻すことはできません」。
免疫の獲得によって感染率がどれほど下がっているのかは正確には分からない。学校の再開や空の旅など重要な問題は、最終的にその答えにかかってくるだろう。
分かっていることは、5月に新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が警戒すべきペースで増加した後、フロリダ州などサンベルト地帯の州ではその数が減り始めたことだ。新型コロナウイルス感染症の流行を予測するパンデミック・モデルを研究しているコンピューター科学者のユーヤン・グーによると、これには社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)政策の効果もいくらかあるが、免疫獲得率の上昇も要因の1つだという。グーのモデルは、米国疾病予防管理センター(CDC)が追跡する34のパンデミック・モデルのうちの1つだ。
グーは「感染率が減少している地域で免疫が重要な役割を果たしている可能性があります」と言う。このモデルがどれほど期待できるかは、少なくとも秋まで分からないが、南部の州で感染が「さらに急増することはないと考えています」としている。
集団免疫
米国は新型コロナウイルスにより、1日に1000人以上の死者と4万5000人の新規感染者数を記録している。しかし、急速な感染拡大には、ウイルスに感染し、拡散しやすい人が徐々に減っていく側面もある。研究者たちは、集団免疫率の上昇がいかにパンデミックを抑え込むのに有効かを判断したいと考えている。
ストックホルム大学でパンデミックのモデルを作成する統計学者であるトム・ブリトン教授は、「感受性者が減れば、間違いなく感染者数も減ります。異論を唱える人はいないでしょう」と話す。「問題は、介入や免疫でどれほどの効果があるのかということです。ニューヨーク、ミラノ、マドリード、ロンドンなど非常に大規模なアウトブレイクが起こった地域では、組み合わせが重要だと確信しています」。
集団免疫と呼ばれるしきい値に達すると、たとえ何の抑制措 …
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