フェイスブックも参戦、
「ポスト・ティックトック」
アプリはこれだ
トランプ大統領の「ティックトック排除」方針を受けて、その地位を競合アプリが虎視眈々と狙っている。ティックトックの競合アプリ4つの違いを紹介しよう。 by Abby Ohlheiser2020.08.13
ソーシャルメディア代理店「インフルエンサー・マーケティング・ファクトリー(Influencer Marketing Factory)」を経営するアレッサンドロ・ボグリアリCEOは、つい先月まで、ティックトック(TikTok)の地位が大きく脅かされるとは予想していなかった。ティックトックには確かに模倣者や競合相手はいるが、その成功ぶりから近い将来その牙城が崩されることはないと考えていた。しかし、インターネットの世界では、数日の間に事態が激変する。
米国のドナルド・トランプ大統領がティックトックを米国内で「禁止」すると7月31日夜遅くに発言したとき、ティックトックのクリエイターたちはファンに向けて一斉にライブ配信し、ティックトックの代わりにインスタグラムやユーチューブでフォローするように懇願した。後にトランプ大統領の発表はすべてが真実ではないと判明した。ティックトックの親会社である中国企業のバイトダンス(字節跳動)はサービス提供禁止前に米国内での事業売却のため45日間の猶予期間が与えられ、現在、マイクロソフトと交渉している(日本語版注:8月8日、ツイッターも買収に名乗りを上げたとの報道があった)。しかし、この混乱はすでに動きを見せていたティックトックの競合相手の台頭を加速させた。
「(ティックトック・ユーザーの)大半を取り込もうと各社戦争状態です」とボグリアリCEOはいう。
事業の売却が成立すれば、ティックトックの優位性はまだ安泰という可能性は高い。ティックトックのアプリには、レコメンド(For You)アルゴリズム、クリエイターの動画作成や他のユーザーとのコラボをサポートする機能、そして多くの人が一時的にでも投稿がバズって有名になれる機会があるという特質(これは他のソーシャルメディア・プラットフォームでは難しい)など、ユニークな魅力がある。しかし、ティックトックの先行きがどう転ぶか分からないため、状況が変化する可能性も残されている。
ティックトックの優位性を脅かす可能性があるのは次の4つのアプリだ。それぞれユーザーや機能、それに仕掛けが違う。違いを紹介しよう。
Byte(バイト)
概要:バイト(Byte)は今年初め、「ヴァイン(Vine)」の復活アプリとしてリリースされた。ヴァインは6秒間の短い動画を投稿できるプラットフォームで、2016年に親会社のツイッターによって閉鎖された(ティックトックを含めた現在のあらゆる動画アプリの源流はヴァインだ)。バイトの制作者、ドム・ホフマンはヴァインの創業に携わった1人でもあり、最愛のアプリ、ヴァインの後継だと開発中に思わせぶりな発言を繰り返していた。
直近の動き:ティックトックはインターネットに潜んでいたヴァインのエネルギーを吸収して自らの文化を花開かせたが、手本となったヴァインの制作者に対してティックトックは必ずしも称賛を贈ったり功績を認めたりしていたわけではない。バイトにはそうしたティックトックに反発する、クリエイターやファンが集まった。かつてヴァインでささやかなフォロワーを集めていた29歳のミュージシャン「@SymphonicRon」は今、バイトで活動している。その理由の1つは、バイトが音楽ライセンス・プログラムを通じて作品から副収入を得る機会を提供しているからだという(彼はオンラインではフルネームを名乗らず、本記事でもプライバシー上の理由からハンドルネームの掲載を求めた)。音楽ライセンス・プログラムについては、元ヴァインのユーザーから聞いたと話している。
しかし、ティックトックが米国政府の監視下に置かれる前のバイトは、かなり静かな場所だったという。「あまり人はいませんでした。一番人気の投稿でも、いいね!は300ぐらい」。今ではティックトックからユーザーが殺到したため交流が活発になり、同時に人気を集めやすいコンテンツの傾向は、わずか数日で「間違いなく変わった」という。
対象ユーザー:インフルエンサー・マーケティング・ファクトリーのボグリアリCEOはバイトについて、ティックトックの競合の中では脅威度はもっとも低いと説明する。その理由はバイトの魅力そのものにあるのかもしれない。バイトではアートや音楽が人気だ。ティックトックと似たようなユーモアがあるサブジャンルもたくさんあるが、ニッチな存在だ。それがもしかするとティックトック・ユーザーにとっては重要かもしれない。
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