気候変動で高潮増加、30年後には2億人が危険に
地球温暖化により海面が上昇し、沿岸部の高潮が増加することで、今世紀末までには、2億5000万人以上の人々と約13兆ドル相当の海岸沿いの建物やインフラが危険にさらされることになるだろう。 by James Temple2020.08.04
温室効果ガスの排出を劇的に削減し、海岸線の保護を強化しなければ、高潮と暴風雨の急増によって、世界中の経済とコミュニティが壊滅的な打撃を受けることになるだろう。
メルボルン大学の研究者らの新たな研究によると、今世紀末までに、海面上昇に起因する沿岸部の高潮が増加することで、2億5000万人以上の人々と約13兆ドル相当の海岸沿いの建物やインフラが危険にさらされることになるという。しかもこれは、比較的楽観的な気候変動シナリオに基づく予測だ。
今回の研究は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)が作成した温室効果ガス排出のさまざまなシナリオのもとで、潮汐、暴風雨の急増、波の型、局所的な海面上昇のモデル化に基づいている。13兆ドルという数字は、防波堤やその他の保護方法で海岸線を補強する対策が実施されないことを前提とし、二酸化炭素による汚染が2040年頃にピークを迎えてその後減少を始めると仮定している。これは、温室効果ガスの穏やかな排出シナリオだ。
今世紀の間ずっと温室効果ガスの排出が野放しで増加を続ける最悪のシナリオでは、沿岸部の高潮で約2億9000万人の人々と14兆ドル以上の海岸沿いの資産が脅かされることになる。これは、世界のGDPの20%に相当する(しかし、気候研究者の中には、すでに排出を横ばいにする対策を取った国があることを考慮すれば、この「RCP8.5」シナリオが実現する可能性は低くなってきていると主張する者もいる)。
穏やかなシナリオのもとでも、現在からわずか30年後には、約2億400万人の人々と110億ドルの資産が沿岸部の高潮にさらされる可能性がある。現在と比べてそれぞれ16%と14%の増加となる。
今回の研究が明らかにしたところによると、オーストラリア北部、ヨーロッパ北西部、中国南東部、米国東海岸、バングラデシュ、およびインドの複数の州で、頻繁かつ広範囲にわたる高潮のリスクがとりわけ高くなるという。
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- ジェームス・テンプル [James Temple]米国版 エネルギー担当上級編集者
- MITテクノロジーレビュー[米国版]のエネルギー担当上級編集者です。特に再生可能エネルギーと気候変動に対処するテクノロジーの取材に取り組んでいます。前職ではバージ(The Verge)の上級ディレクターを務めており、それ以前はリコード(Recode)の編集長代理、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニストでした。エネルギーや気候変動の記事を書いていないときは、よく犬の散歩かカリフォルニアの景色をビデオ撮影しています。