KADOKAWA Technology Review
×
最新テクノロジー満載のNASA火星探査車、生命の痕跡を探す旅へ
NASA/JPL
宇宙 無料会員限定
NASA’s new Mars rover is bristling with tech made to find signs of alien life

最新テクノロジー満載のNASA火星探査車、生命の痕跡を探す旅へ

NASAが7月30日に打ち上げた最新の火星探査機パーサビアランスは、火星で発見したサンプルを地球に持ち帰る予定だ。最も居住可能性の高いとみられるエリアで生命の痕跡を探す。 by Neel V. Patel2020.08.05

突き詰めれば、人類の火星探査への原動力は、常に我々の太陽系に存在する生命の物語を解明することであった。地球は、唯一生命体が存在する惑星なのか。これまでもずっとそうだったのか。あるいは、地球の生命体の先祖は、火星に由来しているのだろうか。米国航空宇宙局(NASA)はこれらの疑問を少しずつ解明するため、NASA史上最も野心的な試みを始めようとしている。「パーサビアランス(Perseverance)」と呼ばれるハイテク探査機を使い、火星で発見したサンプルの一部を地球に持ち帰ろうという計画だ。

7月30日に打ち上げられたパーサビアランスは、2021年の2月までに火星着陸船(ランダー)と探査車(ローバー)の小さな艦隊に加わる。この艦隊は火星の表面を詳細に観察し、さまざまな研究を実施してきた。NASAが21世紀に打ち上げた他の3台の探査車は、それぞれ「赤い惑星」である火星が以前、あるいは現在も生命体を宿している可能性を探る調査に携わってきた。しかし、それらのミッションは、火星上の水の痕跡を探り、 生命体へと発展し得る成分を調査するなど、生命体存在の可能性を巡る周辺の疑問に焦点を置いていた。一方でパーサビアランスは、この可能性に真っ向から取り組む。古代の火星において、最も居住可能性の高い地帯の1つであったと考えられるエリアで生命体を探す。

古代デルタ地帯の調査へ

パーサビアランスは火星に到着すると、直径28マイル(約45キロ)の「ジェゼロ・クレーター(Jezero crater)」に向かう。これは、38億年前から存在している湖の跡で、かつて河川がこのクレーターに流れ込んでいた。ジェゼロ・クレーターの河川デルタ(三角州)の岩の中には、生命体と関係する有機化合物や鉱物を含んでいた可能性のある沈殿物が残っている可能性が高い。

パーサビアランスのロボット・アームに搭載された、X線 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Why the next energy race is for underground hydrogen 水素は「掘る」時代に? 地下水素は地球を救うか
  2. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  3. This quantum computer built on server racks paves the way to bigger machines ザナドゥ、12量子ビットのサーバーラック型光量子コンピューター
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る