ディープフェイク技術は有益、テンセントが主張する5つの用途
知性を宿す機械

The owner of WeChat thinks deepfakes could actually be good ディープフェイク技術は有益、テンセントが主張する5つの用途

中国の巨大テック企業の一角であるテンセントは、ディープフェイク技術は有益な技術であり、規制すべきではないと主張している。 by Karen Hao2020.07.30

ディープフェイク・テクノロジーは、「『偽造』したり『だまし』たりするだけのものではなく、極めて創造的かつ画期的なテクノロジーです」。ウィーチャット(WeChat)の開発元であり、中国の三大テック企業の1つであるテンセント(Tencnet)は、人工知能(AI)計画に関する新しいホワイト・ペーパー(リンク先は中国人研究者のジェフリー・ディンとキャロライン・マインハートが英訳したもの)において、こう強調している。また、規制当局に対して「賢明な対応」を促し、社会にメリットをもたらす可能性を制限しないよう強く求めている。

テンセントは、ディープフェイク技術の有益な応用例として次の5つを挙げている。いずれも、すでに利用またはまもなく利用される可能性があるものだ。

 

テンセントはすでに、これらの応用例のうち複数を進めるために取り組んでいると述べている。こうした同社の方針は、まだディープフェイク技術に取り組んでいない競合他社の参入を促し、買収を目論む中国のスタートアップ企業の方向性に影響を与えることになるだろう。中国政府がAIの全体戦略の一環で立ち上げた「AIナショナルチーム」のメンバーであるテンセントは、産業の拡大促進を図る規制当局にも大きな影響力を持っている。

テンセントは、ディープフェイク技術が害をもたらす可能性を認識している。特に、ポルノ画像への顔交換に利用される場合だ。しかしテンセントは、ディープフェイク技術が「社会の真実を覆すことはなく、ましてや世界の秩序を脅かすことはない」として、極めて楽観的だ。もちろん、ディープフェイク技術を商用化することで莫大な利益を得られる企業にとって、そう述べることはたやすいことだ。