改革に意欲も、慎重さも垣間見えるバイデン候補の気候変動対策
ジョー・バイデン大統領候補が7月に発表した大規模な気候変動対策は、進歩派に配慮し、従来の対策を強化するものだ。一方で、依然として石炭産業と天然ガス産業が盛んな州の有権者の関心も引こうとしている。 by James Temple2020.09.03
米民主党のジョー・バイデン大統領候補が、より大胆な行動を求める同党の進歩派の要求に応えるように、気候変動対策に意欲を示している。
7月14日の演説で、米大統領選で民主党の指名獲得を事実上確実にしているバイデン候補は、2兆ドルをクリーンエネルギー政策に投入し、2035年までに電力部門から二酸化炭素排出を削減する案を発表した。これは経済を回復させ、気候変動の問題に取り組む試みとして、当初の政策内容を拡充したものだ。
バイデン候補はほかにも、エネルギー効率の向上のための数百万棟の住宅や建物の改築、一般市民が環境回復プロジェクトに参加する気候対策市民部隊(Civilian Climate Corps)の創設、電気自動車用充電施設50万カ所の設置、燃料効率の低い車やトラックからハイブリッド車や電気自動車に変えることを促進する補助金プログラムの設立、「第2の偉大な鉄道革命」を進めるといった計画を打ち出した。
バイデン陣営のWebサイトでは、2035年に設定された電力部門の目標を達成するため、「エネルギー効率の良いクリーンな電力基準」を実施することが明示されている。この政策は、電力会社や配電事業者が、二酸化炭素排出源由来の電力の割合を徐々に減らすよう要求するものだ。技術的には中立な基準であり、発電手段を問わないため、太陽光や風力、地熱、原子力に限らず、効果的な二酸化炭素回収システムを備えた化石燃料発電所による発電も認められる。
バイデン候補による7月14日の発表は、「ビルド・バック・ベター(より良き再建)」政策に続いて打ち出されたものだ。ビルド・バック・ベター政策では、4000億ドルを米製造業の活性化に、3000億ドルを電気自動車や人工知能(AI)、その他の分野の研究開発資金に投入することが宣言されていた。
今回発表された新政策は、バイデン候補のこれまでの政策に比べ、はるかに積極的なものだ。これま …
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