新型コロナの死亡リスクが高まる要因は?英大規模調査で裏付け
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡リスクに、高齢、男性、黒人または民族的マイノリティであることや基礎疾患があるといったさまざまな要因が関連することが、英国の1700万人以上を対象にした研究で明らかになった。 by Charlotte Jee2020.07.11
英国の1700万人以上を対象にした研究により、高齢、男性、黒人または民族的マイノリティであることや基礎疾患があるといったさまざまな要因が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で死亡するリスクの増加に関連することが明らかになった。多くの先行研究を裏付ける結果だが、これまでよりはるかに大規模な研究となっている。本研究の論文は、7月8日付のネイチャー誌に掲載された。
研究チームは今回、英国の人口の約40%を占める1727万8392人の成人(うち1万926人が新型コロナ感染症または関連合併症で死亡した)の匿名化された健康記録を使用した。研究者らはこのデータを、独自で開発した健康分析プラットフォーム「オープンセイフリー(OpenSAFELY)」に取り込んだ。同研究チームは、より多くの患者の記録が利用可能になるのにつれて、プラットフォームにデータを追加し続けるとしている。
周知のように、年齢は新型コロナウイルス感染症で死亡する可能性を示す最大の要因であり、80歳を過ぎると死亡リスクは急増する。80歳以上は40歳未満より死亡する可能性が数百倍高く、英国の新型コロナによる死者の90%以上が60歳以上だった。男性は同年齢の女性よりも死亡する可能性が高く、死者全体の60%を占めている。肥満、糖尿病、重度の喘息、心血管疾患などの基礎疾患のある人は死亡リスクが高く、低所得者も同様に高リスクだった。
この研究により、黒人、南アジア人および他の民族的マイノリティ集団の人は白人の患者よりも高い確率で死亡していることを明らかになった。研究チームは、民族的格差がこれほど大きい理由を明確にできていないが、「リスクが高くなる要因のごく一部として、黒人および少数民族に見られる心血管疾患や糖尿病などの病気の高い罹患率あるいは高い貧困率が挙げられます」と説明している。ニューヨークタイムズ紙が米国疾病予防管理センター(CDC)から入手したデータによると、米国では、黒人およびラテン系米国人は白人に比べ2倍近くの確率で死亡している。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。