新型コロナ、空気感染の恐れ 科学者らがWHOに対策見直しを要請
生命の再定義

A group of 239 scientists say there’s growing evidence covid-19 is airborne 新型コロナ、空気感染の恐れ 科学者らがWHOに対策見直しを要請

科学者グループがWHOに送った公開書簡で、新型コロナウイルス感染症は空気感染する可能性があると主張している。 by Charlotte Jee2020.07.08

32カ国239名からなる科学者グループが、世界保健機関(WHO)に公開書簡を送り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は空気感染する可能性があると主張している。そのことはすでに知っていると思うかもしれないが、現在されている指導は、新型コロナウイルス感染症は感染者の鼻や口から吐き出された飛沫(小滴)を介して伝染するという考え方に基づいている。呼吸による大きなしずくはすぐに床に落ちるという考えだ。これはWHOがパンデミックの初期から取ってきた立場であり、だからこそ私たちはお互いに距離を保ってきた。

だが、公開書簡に署名した科学者らは、ずっと小さな飛沫(エアロゾルと呼ばれる)が空気中を浮遊し続けることで起こる空気感染をWHOは甘く見ていると言う。エアロゾルは飛沫よりも遠くまで移動し、感染者が立ち去った後でもそこに滞留し続ける。

書簡によると、複数の研究により、「合理的な疑いの余地なく、ウイルスが空気中に高く浮かび続けるのに十分小さな微小滴の形で、息を吐く、会話する、咳をするなどの際に放出されることが実証された」という。さらに、この微小滴は「感染した個人から1メートルから2メートル以上離れた距離でも曝露のリスクをもたらす」としている。米国立衛生研究所(NIH)が実施した初期の臨床検査では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はエアロゾルの形で空気中に最大4時間滞留できることが判明した。4月にネイチャー(Nature)誌で発表された調査報告書によると、中国の武漢にある2つの病院で収集されたエアロゾルからも新型コロナウイルスが検出された。さらに、スーパー・スプレッダーの事例からも、証拠の重みが増す。たとえば、米国では、合唱の練習をした後、安全な距離を保っていたにもかかわらず、50名近くが感染してしまった事例がある。

もし空気感染がウイルスの拡散経路であるなら、現在の助言に変更を加える必要性が出てくる可能性がある。社会的距離戦略が、特に屋内では不十分かもしれないことを示しているからだ。となると、家族以外の人々と屋内で会う際には、いよいよマスクを装着することが重要になるだろう。たとえ距離を取っていても、閉鎖空間の換気を十分に実施していてもだ。空気の再循環を減らそうとするなら、空気清浄機がより重要になる可能性がある。新型コロナウイルス感染症患者を治療する医療従事者は、最小の飛沫を除去するために最高品質のマスク(N95)が必要になるかもしれない。

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