レディット(Reddit)は6月29日、規則違反を繰り返したことを理由に、トランプ大統領の支持者が集まる悪名高いサブレディット(掲示板)である「r/The_Donald」を停止した。レディットのスティーブ・ハフマンCEO(最高経営責任者)は、レディット上でのヘイト行為や誹謗中傷の防止を目的とした規約変更を発表し、r/The_Donaldはレディットが禁止した2000のサブレディットの1つに過ぎないと述べた。
同様の動きが続いている。レディットの発表後、ライブストリーミング・サービスのツイッチ(Twitch)は、トランプ大統領が「ヘイト関連行為および嫌がらせ行為に関するポリシー 」を破り、メキシコ移民に関するコメントを再放送したとして、アカウントを一時凍結したと発表した。
一方、ユーチューブも白人至上主義者のデイビッド・デューク、リチャード・スペンサー、ステファン・モリニューなど、極右の人種差別的なクリエイター数人のアカウントを立て続けに停止している。
一連の動きの先駆けとなったのが、ツイッターとフェイスブックの方針変更だ。両社の方針変更は、トランプ大統領と極右関連アカウントのルール違反行為に対するプラットフォームの立場をシフトさせるきっかけとなった。r/The_Donaldはかつて、親トランプ派のネット利用者のコア組織として、過激派コンテンツを広く拡散する役割を担ったこともある。2016年後半にはこのサブレディットがアルゴリズムを利用して親トランプのコンテンツを拡散していることが明らかになり、レディットは制限を導入している。当時、r/The_Donaldのメンバーはピザゲート(ヒラリー・クリントンの関係者が人身売買や児童性的虐待に関与しているという陰謀論)の拡散に関わっており、有志のモデレーターらはr/The_Donaldのメンバーから受ける罵倒や嫌がらせにコミュニティが対抗できる策を導入するよう、ハフマンCEOに要求した。
ワシントンポストが指摘するように、r/The_Donaldは実際には数カ月前からほぼ休眠状態にあり、そのほかの停止されたサブレディットのほとんどが小規模または非アクティブの状態だ。だが、r/ChapoTrapHouseとその同名の左翼ポッドキャストや、6万人以上のメンバーを擁し、常にトランスフォビック(トランスジェンダー嫌悪)な見解を拡散していたサブレディット「r/gendercritical」など、特筆に値するものもいくつか含まれている。
今回の迅速な禁止と停止の連続は、2018年8月に陰謀論者のアレックス・ジョーンズが数日間にほとんどの主流ソーシャルメディア・サイトから閉め出されたことを彷彿とさせる。ジョーンズが運営していた「インフォウォーズ(Infowars)」のアクセスは結果的に大幅に低下し、オンライン・トラフィックモニターのシミラーウェブ(SimilarWeb)によると現時点でのトラフィックは2018年の約3分の1になっている。