米民主党議員らは、連邦司法当局による顔認識テクノロジーの使用を禁じる法案を提出した。具体的には、米国においていかなる連邦政府機関および関係者による生体情報監視テクノロジーの「取得、保有、アクセス、使用」を違法化する内容となっている。また、州および州司法当局に対しては、連邦予算の資金援助を受ける条件として同様の禁止措置の導入を求める法案となっている。この顔認識・生体情報モラトリアム法案は、マサチューセッツ州選出のエド・マーキー、オレゴン州選出のジェフ・マークリーの両上院議員、ワシントン州選出のプラミラ・ジャヤパル、マサチューセッツ州選出のアヤンナ・プレスリーの両下院議員らによって提出された。
法案は、5月下旬のジョージ・フロイド殺害を受けた抗議運動の拡大とともに警察による顔認識テクノロジーの使用に対する視線が厳しくなる中で提出された。各種研究において、顔認識技術の黒人に対する精度の低さが繰り返し示されており、ニューヨーク・タイムズ紙は先週、ミシガン州の無実の黒人男性が顔認識ソフトウェアの誤認識によって逮捕されていたことを報じている。「顔認識技術は私たちのプライバシーに深刻な脅威をもたらすだけでなく、米国の黒人およびマイノリティの人々に物理的な危険を与えるものです」。マーキー議員は声明でこう述べている。
顔認識技術の使用制限に向けた動きは、アクティビストによる長年のロビー活動の影響もあり、テック企業自体からの圧力が高まったことも影響している。2週間前、IBMが汎用顔認識システムの使用停止を決断したことを受け、アマゾンは同社の顔認識システムであるレコグニション(Rekognition)の警察による使用を1年間停止すると発表した。翌日、マイクロソフトは顔認識技術に対する連邦法による規制が導入されるまで警察当局に対する顔認識システムの販売を停止すると発表した。舞台を議会に移した顔認識を巡る問題だが、この法案は成立に向けて十分な支援を得られるのだろうか。