ノートパソコンを修理に出すと、PC内のデータは所有者の想像以上に綿密に調べられるようだ。
カリフォルニア州の裁判で、ベスト・バイの修理ショップ「ギーク・スクワッド」の技術者がFBIから報酬を受け取り、情報を提供していたことが発覚した。詳細な聞き取りにより、技術者は顧客から修理のために預かったコンピューターを調べて児童ポルノ犯罪を立件する証拠を見つけていた。
カリフォルニア州の医師が児童ポルノを所持していた事件に関連する裁判で、多くの証拠書類は開示されていない。ただし、ギーク・スクワッドの元責任者が消費者保護団体「コンシューマリスト」の記事で述べていることによれば「データ復旧部門の技術者が児童ポルノと疑われるファイルを修理中の顧客のコンピューターで発見した場合、技術者はすぐに作業を中止して上司に報告し、FBIに通報されるようになっていました」という。
この責任者は「2001年にはトレイシー・ライリー特別捜査官から500ドル受け取りました」というが「報酬が、FBIが自動ポルノを見つける奨励金とは知らなかった」という。
ベストバイはワシントン・ポスト紙に対し、業務中に犯罪として立件されうる物品を見かけた場合、従業員には「それを捜査機関に提出する法的および道徳的な義務があります」と述べた。FBIからの報酬については「これは当社にとって許容できないことです。もちろん当社で一般的な業務実態ではありません」という。
しかしワシントン・ポスト紙は、ギーク・スクワッドの従業員とFBI捜査官との電子メールのやりとりが法廷で開示されたと書いている。つまり、この状況はすでに確立された業務になっていたことを示しており、現在はその関係について調査が進められている。
機械を修理に出す場合、顧客は担当の技術者が機械を調べることはもちろん承知している。しかし、修理の際にまさか自分のコンピューターを連邦政府から報酬を得た「情報屋」の手に渡しているとはおそらく思いもしないし、合衆国憲法修正第4条が定める不当な捜査から保護される権利を剥奪されるとは想像もしないだろう。FBIが捜索令状を取得しない限り、顧客の所有物を調べるのは合法ではないはずだ。
とはいえ、捜索令状の取得は今や簡単になりつつある。昨年、FBIは犯罪捜査にあたってコンピューターをハッキングするための大きな権限を認められた。また議会は捜査官が差し押さえていない機械の捜索令状を簡単に取れるようにした。 自分のファイルを捜査機関の目に触れないようにしたければ、自分のノートパソコンは自分で修理したほうがよさそうだ。
(関連記事: The Washington Post, Consumerist, “米政府による合法ハッキングで、一般人も捜査対象に,” “Technology Can Make Lawful Surveillance Both Open and Effective“)