国際宇宙ステーションで物質の「第5の状態」生成に成功
国際宇宙ステーションで、物質の「第5の状態」とも呼ばれるボース・アインシュタイン凝縮が生成された。物理学の深い謎の解明につながる可能性がある。 by Neel V. Patel2020.06.17
国際宇宙ステーション(ISS)には2018年5月から、真空中の原子を絶対零度より100億分の1度だけ高い温度まで冷却できる、コールド・アトム・ラボ(Cold Atom Lab :CAL)と呼ばれるミニ冷蔵庫サイズの設備が搭載されている。事実上、既知の宇宙で最も寒い場所の1つだ。ネイチャー誌に掲載された新しい研究によると、科学者はこの設備を使って史上初めて、宇宙空間で物質の稀な状態を作り出すことに成功した。
物質の「第5の状態」とも呼ばれるボース・アインシュタイン凝縮(Bose-Einstein condensates)は、原子が個別に振る舞うのをやめて集合体のように振る舞いはじめる気体の原子の雲だ。BECと呼ばれることが多いボース・アインシュタイン凝縮の状態は、アルバート・アインシュタインとサティエンドラ・ナート・ボースが95年以上前に最初に予想したものだが、研究室で初めて科学者によってそれが観測されたのはわずか25年前のことだ。
BECを作るときの一般的な方法は、原子(CALの場合はルビジウムとカリウム)を極低温チャンバーに注入して減速させ …
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