地球から3000光年彼方の「ケプラー160(Kepler-160)」は太陽に似た恒星で、その系にはすでに3つの惑星があると考えられている。今回、研究者らは4つ目を発見したと考えている。惑星「KOI-456.04」と呼ばれるこの天体は、大きさや軌道の点で地球とよく似ていると思われ、居住可能な太陽系外惑星としてこれまでで最良の候補を発見したかもしれないと期待されている。この新たな発見は、ケプラー160や太陽のような(惑星が生命に適した光を受け取れる可能性が高い)恒星を周回する惑星を、より多くの時間をかけて探す正当性を裏付けるものだ。
これまでのほとんどの太陽系外惑星は、赤色矮星の周りで発見されている。もっとも、これは驚くべきことではない。赤色矮星は最も一般的な種類の恒星であるからだ。加えて、太陽系外惑星を発見する主な方法は、(軌道上の物体が恒星の前を通過するときに恒星の明るさが周期的に低下する)恒星面通過(トランジット)を探すことである。この方法で惑星を見つけるのは、太陽よりも小さく、より多くのエネルギーを赤外線として放射する、赤色矮星のような微かに光る恒星に対してより容易になる。この種の発見で最も有名なのは、太陽系の最も近い恒星、プロキシマ・ケンタウリ(Proxima Centauri)の近くの惑星である。赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリは、プロキシマbと呼ばれるおそらく居住可能な惑星を有している(ちなみに、その存在を確認した新たな研究論文が6月第1週に発表された)。
6月4日にアストロノミー・アンド・アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)誌に掲載された、ケプラー160を周回する新たな太陽系外惑星のデータは、まったく異なる状況を示している。研究者らが見たところでは、KOI-456.04は、地球の2倍のサイズに満たず、地球から太陽までとほぼ同じ距離でケプラー160を周回しているようなのだ(378日で軌道を1周する)。おそらく最も重要なのは、KOI-456.04が、地球が太陽から受け取る光の約93%と同量の光を受け取っていることだ。
このことが重要な意味を持つのは、赤色矮星の周りの惑星の居住可能性に対する最大の障害の1つとして、赤色矮星が惑星やそこに住む生物を焼いてしまいかねない高エネルギーのフレアと放射線を大量に放出する可能性が挙げられるからだ。一方、太陽やケプラー160のような恒星は、(理論的には)生命の進化にとってより安定的で適している。
論文執筆者らは今回、米国航空宇宙局(NASA)の「ケプラー(Kepler)宇宙望遠鏡」ミッションで収集された古いデータを再分析してKOI-456.04を発見した(日本版注:ケプラー・ミッションは2018年10月に運用を終了した)。研究チームは2つの新たなアルゴリズムを使用して、ケプラー160から観測された恒星の明るさを分析した。そのアルゴリズムは、以前に同星系で惑星を特定するために使われたような明るさの突然の低下や増加を探すのではなく、より細かく段階的なレベルで暗くなるパターンを調べるように設計されたものである。
現在、研究者らは、KOI-456.04が実際に惑星である可能性は85%だと述べている。ただ、依然として、ケプラー宇宙望遠鏡の機器、あるいは新たな分析の不適切な処理の結果である可能性もある。可能性が99%の基準値を超えて初めて太陽系外惑星であると認定される。その基準を満たす確実性を得るためには、直接観測する必要がある。米国航空宇宙局(NASA)が開発中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)の機器がその役割を担うと期待されている。「欧州宇宙機関(ESA)が2026年に打ち上げ予定の「プラトー(PLATO)宇宙望遠鏡」の機器も同様だ。