ツイッターは5月29日、ドナルド・トランプ大統領のツイートが、「暴力賛美」についてのツイッターの規定に違反しているとして警告ラベルを付けた。トランプ大統領は午前12時53分に投稿したツイートで、警察に拘置中に起こった黒人男性の死に抗議するミネアポリス(ミネソタ州)のデモ隊を「ごろつきども」と表現し、軍隊による介入をちらつかせて「略奪が始まれば、銃撃が始まる」と述べた。
ツイッターは5月26日に、郵便投票に関するトランプ大統領の2つのツイートにファクトチェック(事実確認)を促すラベルを付けた。デマに対するルールを大統領に初めて適用したのだ。これを受けてトランプ大統領は5月28日、ソーシャルメディア企業が自社プラットフォーム上に投稿されたコンテンツに対する責任を問われるのを防ぐ法的保護を弱めることを狙った大統領令に署名した。
郵便投票に関するトランプ大統領のツイートは今でもプラットフォーム上で自由に見られるが、5月29日の大統領のツイートについては異なるアプローチが採用されている。このツイートを見るには、ユーザーはまず、暴力賛美を禁じるツイッターの規則に違反していることを警告するラベルをクリックしなくてはならない。ツイートに返信したり、「いいね」を付けたりすることもできない。政府関係者が運営する影響力の大きなアカウントから発せられた規則違反のツイートについては、ツイッターがニュース性を考慮して削除すべきでないと見なした場合に、「公益のための特例」(日本語版)ルールが適用される。
ツイッターはコミュニケーション・アカウントのスレッドにおいて、このツイートに警告ラベルを付けた理由として、「(トランプ大統領のツイートの)最後の部分の歴史的背景や暴力とのつながり、および今日同じような行動を刺激するリスク」を挙げている。1967年、マイアミ警察の本部長だったウォルター・E・ヘッドリーが、「若いチンピラ」の取り締まり方法を宣伝する際にこのフレーズ(「略奪が始まれば、銃撃が始まる」)を用い、公民権活動の指導者たちを怒らせた。同じインタビューでヘッドリー署長は「警察の暴力が非難されても気にしません。まだまだこれからです」とも語っている。
トランプ大統領は以前から、自分が保守派であるがゆえにツイッターから検閲を受けていると主張。政府が通信品位法第230条を制限もしくは削除すべきだと述べている。1996年に成立したこの連邦法は、ユーザーが投稿したコンテンツとモデレーションに関する決定についてインターネット企業に大きな法的保護を与えるものだ。ミネアポリスのデモ隊に関するトランプ大統領のツイートにツイッターが警告ラベルを付けた数時間後、ホワイトハウスの公式ツイッターアカウントに大統領のコメントがそのまま再掲載された。ツイッターはその後、ホワイトハウスのツイートにも警告ラベルを付けた。