ヴァージン・オービット(Virgin Orbit)は5月25日、「ランチャーワン(LauncherOne)」ロケットの飛行試験に失敗した。7年間かけて開発とテストを重ねた後の初の飛行試験だった。ランチャーワンはボーイング747によって輸送され、カリフォルニア沖の太平洋上で切り離された。ロケットは数秒間落下した後、空中でエンジンを点火して地球を周回する低軌道に突入するはずだった。だが点火はしたものの軌道には乗らず、海上に落下した。今回の飛行は実際に衛星を宇宙に打ち上げるというよりも、データ収集を意図したもの。ボーイング747の搭乗員と2機目の安全確保用飛行機は、無事にモハベ航空宇宙空港に戻った。
ヴァージン・オービットは ツイッターで、失敗の原因は飛行の第1段階で「異常」が発生したためとし、「今日収集した大量のデータをエンジニアが分析した後、さらに多くのことが分かるでしょう」と約束した。今回の試験に先立ち、同社の特別プロジェクト統括責任者であるウィル・ポメランツ副社長は、成功するチャンスは50%しかないと語っていた。「歴史を振り返ってみても、初飛行が必ずしもうまくいくわけではありません」。ランチャーワンは今回の飛行試験の前に、飛行機から投下されたことはあった (2019年7月に撮影された上の写真を参照)。しかし、エンジンに点火したのは今回が初めてだった。
ポメランツ副社長が述べたように、初飛行が失敗に終わることは珍しいことではない。今回の失敗がヴァージン・オービットにどんな影響を与えるかはすぐには分からない。同社によると、現在、問題発生の原因を分析中であり、代替用ロケットを使ってできるだけ早く次の飛行試験に乗り出すことを「熱望している」という。ポメランツ副社長は次のチャンスについて楽観的な見通しを示しており、エンジンが期待通りに点火したということ自体、「最大の技術的リスクの一つ」を首尾よく克服したことを意味すると述べている。