惑星が誕生する過程の観測に天文学者らが史上初めて成功した可能性がある。最近発表された上掲の画像は太陽系から約520光年の距離にある「ぎょしゃ座AB星(AB Aurigae)」という非常に若い星系のものだ。画像を見ると、ガスと塵が渦巻いている巨大な円盤が確認できる。円盤には新たな惑星が形成されつつある場所を示す可能性のある顕著なねじれが見られる。この研究結果は5月20日、学術誌『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス(Astronomy & Astrophysics)』に掲載された。
ぎょしゃ座AB星は数年前に、チリのアタカマ(Atacama )大型ミリ波サブミリ波干渉計により観測された。その観測写真では星の近くに2つ、長いガス状の渦巻きが捉えられており、研究者らはさらに、同じくチリにあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡で観測を続けることにした。この望遠鏡には「スフェア(SPHERE)」と呼ばれる、微小な粒塵に反射する微かな光や、星系の円盤内部からの放射を観察する装置が搭載されている。
スフェアの画像によりガス状渦巻きの存在が確認され、複数の渦状腕がつながっていることを示すねじれも観察された。これらの渦巻きによって、若い星系の中を動き回る他のガスや塵が「やがて惑星となるもの」へと降着し、ゆっくり成長し、やがては完成形へと成熟してゆくのだ。