中国の配車サービス滴滴出行(ディディチューシン)がブラジル進出を発表した。
フィナンシャル・タイムズ紙の記事(ペイウォール)によれば、滴滴がブラジル国内で事業を立ち上げる代わりに、ブラジル国内で配車サービスを展開する99と事業提携する。具体的な契約内容は不明だが、99の広報担当者がTechCrunchに述べた話では、滴滴の出資額は「1億ドル以上」で、99の取締役会に役員として人を送り込む。
滴滴が中国外の事業展開を狙っているのは秘密ではない。昨年後半あったブルームバーグのインタビューで、滴滴のジーン・リウ社長は「弊社は確かにグローバル展開を目指しています」と述べた。滴滴にはそうする事情がある。先月ウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えたように、中国では配車サービスに関する法規制が改められて居住者以外は配車サービスの事業者になれなくなり、中国国内のあらゆる大都市で、多くのドライバーが事業停止を余儀無くされているのだ。
ブラジルへの進出によって、滴滴は再度、最大のライバルと対戦することになる。ウーバーは中南米諸国を大きなビジネスチャンスと捉えており、ブラジル市場は現在業績が世界で3番目に大きいのだ。滴滴がウーバーのライバル会社に出資しているのは今回が初めてではない。2015年には、アメリカの配車サービスで2位の業績があるリフトに出資した。
ウーバーと滴滴の関係は、間違いなく妙なことになっている。昨年夏、ウーバーは何十億ドルもの大金をつぎ込んで成果が得られず、中国の配車サービス市場への参入を断念した。そこでウーバーは中国事業を滴滴に売却し、現在両社はお互いの取締役会に投票権なしの議席がある。
滴滴のチェン・ウェイ最高責任者がブルームバーグに述べた話では、この状況が意味するのは両社が「お互いに学び合える」ことだという。だが、両社が何を学び合ったとしても、結局はグローバル市場で決着がつくだけなのは明白だ。母国以外の市場でどちらかが勝者になるかは、まだわからない。
(関連記事:Financial Times (paywall), TechCrunch, Bloomberg, “ビジネスモデルの欠陥? ウーバー、中国市場で敗北,” “A Chinese Rival Beats Uber at Its Own Game”)