世界が自動運転自動車の時代を待っている一方で、 現在ラスベガスで開催中のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、人間のドライバーの役に立つ先進テクノロジーが展示されている。
たとえばBMWは、ホログラフのテクノロジーを使ってドライバーの目の前の空間にスクリーンを浮かばせる状態を作ろうとしている。エアコンから車内エンターテインメントまで、フルカラーのディスプレーで状態を表示する。カメラがディスプレーに対するドライバーの指の位置を検出するので、ドライバーは光のスクリーンを指差して機器を操作できる。テクノロジーが実際に自動車に搭載される時期は不明だが、2015年にBMWが展示したジェスチャー制御システムは、既に量産型モデルに搭載されている。
一方、フォードは、アマゾンのスマート・アシスタントであるアレクサを家庭から自動車に連れ出すことを発表した。車内でアレクサに話しかけ、たとえば食事休憩場所の情報や天気予報、音楽など、今までならセンターコンソールで操作していたことを代わりにやってもらえるのだ。
どちらの場合も、自動車メーカーが、ドライバーの目を道路上から離さないようにしたいのは明白だ。ながら運転による死亡事故が増加しており、半自律型の自動運転が事故を助長しかねない状況で、この目標を掲げるのは素晴らしい。しかし、どこかにトレードオフが生じてしまうだろう。利便性と機能の追加によって、車というよりラウンジのように感じられる車内空間になれば、新機能の効果が弱まるというより、ひょっとすると注意をさらに散漫にさせてしまうかもしれない。
ただし、こうした問題はエヌビディアの最新の計画でなんとかなる問題ともいえる。エヌビディアは、マニュアル運転をより安全にするために半自律運転テクノロジーを使いたいと発表した。自動車の外装に次々に取り付けられるカメラやレーダーなどのセンサーで人間の知覚を補い、道路状況をよりよく把握できるようにするアイデアで、システムがドライバーから見えないものをカメラで捉え、的確に指示を出す。
このような仕組みは、ながら運転の問題を減らすだけでなく、自律運転分野でいう「ハンズオフ」(コンピューターが車両の制御を人間のドライバーに戻す過程のこと)の実現方法でもある。もちろん、マニュアル運転には常に集中力が必要であり、こうした補助機能は注意深く使われるべきだ。しかし、ドライバーが注意を保てれば、こうしたテクノロジーによって道路は少し安全になるだろう。
(関連記事:Reuters, Wired UK, The Verge, “半自律自動車は不注意死亡事故を増やす,” “Rebooting the Automobile,” “新発売の車載HUDはなぜiPhoneの40倍の輝度があるのか?”)