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拡散止まぬ新型コロナ陰謀論、ソーシャルメディア大手は削除急ぐ
Photo by Joshua Hoehne on Unsplash
Facebook and YouTube are rushing to delete ‘Plandemic,’ a conspiracy-laden video

拡散止まぬ新型コロナ陰謀論、ソーシャルメディア大手は削除急ぐ

新型コロナウイルスのパンデミックに乗じて反ワクチン陰謀論者たちが活動を活発化させている。プラットフォーム各社は、ポリシー違反でコンテンツの削除に乗り出しているが、追いつかないのが現状だ。 by Abby Ohlheiser2020.06.01

著名な反ワクチン陰謀論者を特集した今夏公開予定のドキュメンタリーを抜粋した25分間の動画「プランデミック(Plandemic)」は、フェイスブックとユーチューブが動画の削除を約束する前の5月第2週に数百万回再生されていた。フェイスブックは5月7日、「マスクを装着することで病気になる可能性がある」という有害な主張を宣伝したとして、この動画は規則違反になると記者会見で述べた。デジタル・トレンズ(Digital Trends)の記事によると、動画はフェイスブックで180万回以上再生され、15万回以上シェアされたという。ユーチューブでも数百万回再生されたものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する虚偽情報ポリシー違反だとして削除された。

反ワクチン派の活動家たちは新型コロナウイルス感染症陰謀論を宣伝することで、ソーシャルメディア上で数百万回もの再生回数を稼いでいる。これまでにも報じたように、これは偶発的な出来事ではない。活動家たちは、ユーチューバーやインフルエンサーが視聴数を稼ぐために使っているのと同じ手法で、パンデミック(世界的な流行)の最中に大量の視聴者を獲得しようとしている。反ワクチン派の活動家はメジャーな大物ユーチューバーにインタビューを求め、世間のトレンドに乗り、ファンにメッセージの拡散を呼びかける。そして、目につく限りのソーシャル・プラットフォームで存在感を築き上げていく。

スタンフォード・インターネット観測所(Stanford Internet Observatory )のレネー・ディレスタ研究主任は、こうしたデマと戦っている。ディレスタ研究主任は、反ワクチン活動家は「特定の検索語で検索すると人々の目に止まるコンテンツを作成できる」と感じると、それに時間を投じるだろうと話した。

「プランデミック」のコピーがユーチューブから消え始めると、支援者が「自分たちは不当に検閲されています」という大量のメッセージをツイッターに投稿した。その後、5月7日に、この動画はトレンドのハッシュタグとなり、一層の注目や激しい怒りを招き、多くのメディアで取り上げられることとなった。

「プランデミック」やその他の陰謀論的動画には、効果がない新型コロナウイルス感染症対策や、安全に過ごすための公衆衛生の指針を無視するように働きかけるといった誤ったいくつかの主張が含まれている。「プランデミック」に登場する反ワクチン派のジュディ・ミコヴィッツ博士は4月末に、ユーチューバーのパトリック・べット=デヴィッドとの長時間のインタビューで、2010年代半ばに製造されたインフルエンザ・ワクチンが「今回のパンデミックを引き起こし」、マスクの着用で体内のウイルスが「活性化」されると述べている。さらに、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウシ所長を「反逆罪」で告訴すべきだとも語っている。これらの主張の一部はインタビュー中に何度も繰り返され、それ自体が公開予定の長時間のドキュメンタリーの予告編となっている。

医療デマ問題に詳しいウェイン州立大学医学部の外科腫瘍学者、デビッド・ゴースキ教授は、これらの主張を徹底的に論破している。

ソーシャルメディア・プラットフォームは、デマや極端な意見を広めるコンテンツを削除したり、おすすめや検索の上位に信頼性の高い情報を表示したり、正誤の境界線上にある動画や投稿に信頼できる内容を示す情報ボックスを表示したりといった対策を講じている。専門家によると、こうした対策には効果があるという。ただ、ユーチューブやフェイスブックは、「プランデミック」のような動画が広く再生・共有されるのを防げるほどすばやく対策を実行することに苦労している。別の課題もある。デマ(特に健康に関するもの)は、信頼に足る情報が少なかったり、入手できなかったりする場合に力を得る。半年前には存在しなかった病気を医師や科学者が急いで理解しようとしている現時点では、確かな情報が少ない。これが現在のパンデミックでは特に問題となっている。もし特定の考え方や検索語に関連するコンテンツに陰謀論者が潜んでいたら、好奇心からそれらの言葉を検索した人々は、信頼性の低い情報源のアルゴリズムのトンネルに入り込んでしまう恐れがある。

自らがインフルエンサーとなって、それらの空隙を埋めようとする医師もいる。デマが広まっているプラットフォームにおいて、大勢のフォロワーに向かって、有名なデマの正体を暴くのだ。ネット上の有名人でもあるズービン・ダマニア医師は5月第2週に、自身のユーチューブ・チャンネルに「A Doctor Reacts To ‘Plandemic’(1人の医師が「プランデミック」に反論する)」という動画を投稿した。

「『プランデミック』は、常軌を逸しています」とダマニア医師は動画の中で述べている。「『プランデミック』を見て時間を浪費にしないように。シェアする時間を無駄にしないように。この話題で時間を空費しないように。こんな動画のために、無意味な時間を過ごしている自分が信じられません。でも、『プランデミック』に関するメッセージをこれ以上受け取りたくないのです」。この動画は130万回以上再生されている。

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インターネット・カルチャーを中心に取材。前職は、ワシントン・ポスト紙でデジタルライフを取材し、アトランティック・ワイヤー紙でスタッフ・ライター務めた。
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