おしゃべりなC3-PO型ロボットは一家に1台あれば十分だ
メイフィールド・ロボティクスは、699ドルで購入できる監視・エンターテインメント用自走式ロボットを開発中だ。年内出荷予定だが、本当に売れるのだろうか? by Signe Brewster2017.01.06
シリコンバレーにあるメイフィールド・ロボティクスのオフィスで、クリ(Kuri)は人間を見上げると微笑みかけるように目を細めた。それからR2-D2的なビープ音を数回発して、床を転がっていった。
メイフィールド・ロボティクス(ドイツの自動車部品・工具メーカー、ロバート・ボッシュの研究部門のスピンアウト企業)が開発したクリは、最先端の家庭用ロボットだ。アマゾンのアレクサやグーグル・ホームなどのスマートホーム機器や、ジーボやペッパー、バディのような自走式ロボットまで、競争が激化する家庭内ロボット市場に参入したのだ。クリは家族の新しい一員として、エンターテイメントを届ける(“Personal Robots: Artificial Friends with Limited Benefits”参照)。
メイフィールド・ロボティクスのカイエン・シャオ最高技術責任者(CTO)によると、クリは限られたことなら確実にこなせるように設計されており、他のロボットにはない人格が魅力だという。身長約50cmのクリは、単純にいえば自走型アマゾン・アレクサだ。音楽を流したり、家のどこからでもスマート機器を操作したりできる。また、家の中の様子を映し出して監視もできる。
クリは現在699ドルで予約を受け付けており、今年の終わりまでには購入者に発送される予定だ。メイフィールドはロボットの生産に着手しているが、ソフトウェア面の機能追加に1年費やすつもりだという。
自宅に誰かがいるとき、音楽やポッドキャストを流したり、本を読み聞かせたりして楽しませるのがクリの役割だ。クリは自分の役割を果たしながら、自律的にユーザーの後をついていく。ユーザーはIFTTTのWebサイトでカスタム・コマンドを設定し、特定のアクションを定義できる。
家に誰もいなくても、クリは働き続ける。クリの片方の目の裏側には1080pのカメラが内蔵されており、ユーザーは専用アプリからライブ映像にアクセスできる。ペットの様子や家の中に侵入者がいないかどうかを映像で確認できるのだ。内蔵マイクが異常な物音を拾うと、クリは音の方向に移動し調査する。さらに、遠隔操作でクリを特定の場所に移動するようにも指示できる。メイフィールド・ロボティクスによると、クリの「バッテリー寿命は数時間」で充電が必要になると自分で充電器にドッキングしにいく。
メイフィールド・ロボティクスが開発したのは、人間のために何かを実行できる、人格のあるロボットだ。クリは愛らしくもあり、シンプルな印象もある。つまり、簡単な仕事をこなす以上のことは期待できないデザインだ。「クリはロボットらしく話します。ビーって言ったり、ノイズを出したり。だからこそ愛着が湧くんです。でも期待にはちゃんと応えてくれますよ」と、シャオCTOはいう。
だが、それだけでクリを欲しがる人はいるだろうか? ロボット系スタートアップ企業のコミュニティを運営するロボット・ローンチパッドの創業者で、シリコンバレー・ロボティクスのアンドラ・キーイ社長は、2017年は人工人格によるさまざまな家庭用ロボットが出てくるだろう、という。
「そうはいっても、家庭内にあってもいい人格数には限りがあります。ですから重要なのは愛着心ではなく忠誠心をロボットに持たせることにあります。そうしないといけないのです」とキーイ社長はいう。
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- シグニー・ブリュースターは科学とテクノロジーのライター。特に注目しているのは、たとえば実質現実やドローン、3Dプリントなど、芽生えたばかりのテクノロジーが今後どうなるか、です。記事は、TechCrunch、Wired、Fortuneでも執筆しています。