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Finland Starts Handing Out a Basic Income

フィンランド政府、ベーシック・インカム月額約587ドルを支給開始

実験に参加することになったフィンランドの失業者は、毎月無条件に最低収入を得る。しかし、ベーシック・インカムが有効かどうかを、2000人の実験では判断できない。 by Michael Reilly2017.01.04

フィンランドが他のヨーロッパ諸国に先駆けてベーシック・インカム制度を導入する。ガーディアン紙によれば、現在失業中の約21万3000人の国民から選ばれた2000人に、毎月560ユーロ(約587ドル)を失業保険の一部として支給する小規模実験が始まった。

実験の目的は、失業者にベーシック・インカム(基礎収入)を保証することが再就職を促進するかを調べることだ。フィンランドの失業保険は、失業者が働かなくても生活できるレベルの収入を保証しているが、低賃金の仕事や一時的な仕事に就いた場合には支給が停止される場合がある。

新プランによって、ベーシック・インカムの受給対象に選ばれた人は、追加収入を得るわけではない。560ユーロの支給額は、失業者が得ている失業保険金の一部だが、従来とは異なり、仕事を得た後もそのまま受給を継続できる。

Olli Kangas is research director for the Social Insurance Institution of Finland, the agency conducting the country's experiment in basic income.
ベーシック・インカムについての実験を率いるフィンランド社会保険機構のオリ・カンガス研究所長

この種の実験は最近人気だ。スタートアップインキュベーター企業のワイ・コンビネーターは、100世帯を対象に実験を計画中で、他にオランダやカナダでも同様な計画が進んでいる。

ただし、問題もある。明白なのは多額の実験費用だ。ワイ・コンビネーターの実験では毎月2000ドルを支給するが、費用がかかるため「短期パイロット」プロジェクトの対象人数が100世帯にとどまる理由だろう。ワイ・コンビネーターは最初の実験が「成功」すれば、実験期間を延長するというが、実験規模の拡大はかなりの出費になる。

また、自動化によって失われる雇用(ベーシック・インカム賛成派のおもな仮定)が、労働者にとって実際にどれほどの影響を与えているかは明らかではない。仮に影響があるとしても、人々にベーシック・インカムを無条件に提供することが本当に最善策なのだろうか。そのお金を、次の仕事を得るための研修に使う方が失業者にとってよい結果になるかもしれないのに、そのチャンスを逃すことにはならないのだろうか。

答えるのが難しい質問はいくつもある。フィンランドの実験の背後にどのような意図があるのかは議論しにくいが、小規模の研究から社会全般に適用できるような結論を導くのも難しいだろう。かといって、実験規模を拡大すれば解決するとも限らない。この件に関する考察にもある通り、以前の大規模実験の結果はまちまちだった。実験がうまくいったとしても、再考の余地があるだろう。

(関連記事:The Guardian, “ベーシック・インカムは有効? 結果は2017年に判明,” “Basic Income: A Sellout of the American Dream”)

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マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
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