カリフォルニア州、新型コロナの検査件数を5倍に拡大へ
新型コロナウィルスによる規制緩和に向けて、カリフォルニア州が動き始めた。1日あたりの検査件数を最大8万件に拡大し、1万人の接触者追跡隊を編成する。 by James Temple2020.04.24
新型コロナウイルスのアウトブレイクを抑え込むために自宅待機命令を発令していたカリフォルニア州は、規制緩和を目指し、検査と接触者の追跡調査を大幅に拡大する計画を発表した。
4月22日の記者会見で、ギャビン・ニューサム州知事は、現在の1日およそ1万6000件の検査件数を4月30日までに2万5000件に増やし、その後数週間で6万~8万件にまで引き上げると述べた。取り組みの一環として、アルファベット(グーグルの親会社)の子会社であるベリリ(Verily)、医療サービスを提供する「オプタムサーブ(OptumServe)」と提携し、検査が行き届いていない地方、いわゆる「検査砂漠」を中心とした州内各地に新しい検査場を86カ所設置する。
検査の指針も、症状がない医療従事者、感染者と最初に対応する救急隊員や警察官、刑務所などの矯正施設の職員にまで対象を緩和する。
それとは別に、ニューサム知事は「接触者追跡隊(army of tracers)」の計画を明らかにした。感染者に聞き取り調査を実施し、濃厚接触を疑われる人に連絡を取る作業を担う1万人の調査員を組織する。感染を抑え込み、医療崩壊を防ぐため、接触者に検査を促し、必要に応じて自宅待機や隔離を求めていく。
カリフォルニア州は、米国最大の人口(およそ4000万人)を抱える。接触者追跡プログラムだけでも、1日3万5000件の検査が必要となる可能性がある。追跡隊は、既存の公衆衛生職員、ボランティア、州職員を異動して業務に当たらせ、オンライン・ツールを使って業務の訓練と実際の追跡作業を実施する。
ニューサム知事は、22日にドナルド・トランプ大統領と電話で会談し、検査に欠かせない鼻粘液を採取する綿棒(スワブ)の提供を約束されたと述べた。カリフォルニア州では検査用の綿棒が不足しており、トランプ大統領とは今週10万本、翌週25万本、さらにその翌週にはそれ以上の綿棒の供給で合意したという。
カリフォルニア州は、アウトブレイクを抑え込むため早期に積極的な措置を取ったため、感染者数と死者数が比較的少ない。先週、ニューサム知事は規制の大幅緩和を始めるために州がこれから達成しなければならない主要な6つの目標を示した。その中には、検査と接触者追跡の拡大も含まれていた。進行状況を見守りながら、5月初頭には一部規制を緩和できる時期について、より正確な情報を提供できるだろうと話した。
緩和へ向けての第一歩として22日には、大腸内視鏡検査や心臓弁置換手術など、州が一時停止していた特定の医療処置の再開を発表した。
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- ジェームス・テンプル [James Temple]米国版 エネルギー担当上級編集者
- MITテクノロジーレビュー[米国版]のエネルギー担当上級編集者です。特に再生可能エネルギーと気候変動に対処するテクノロジーの取材に取り組んでいます。前職ではバージ(The Verge)の上級ディレクターを務めており、それ以前はリコード(Recode)の編集長代理、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニストでした。エネルギーや気候変動の記事を書いていないときは、よく犬の散歩かカリフォルニアの景色をビデオ撮影しています。