KADOKAWA Technology Review
×
【1/31東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
グーグルとアップルの新型コロナ接触者追跡、その課題は?
Photo by KE ATLAS on Unsplash
人間とテクノロジー 無料会員限定
Bluetooth contact tracing needs bigger, better data

グーグルとアップルの新型コロナ接触者追跡、その課題は?

グーグルとアップルが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の接触者追跡を実現するシステムの開発を急いでいる。Bluetooth信号を使う課題とは何か。 by Patrick Howell O'Neill2020.05.04

Bluetooth(ブルートゥース)といえば、ヘッドホンとスマートフォンをペアリングして使うための技術として知られている。だが、誕生から21年目となるこの無線技術は、いまや新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に曝された可能性があるかどうかを示す接触者追跡アプリの中核をなす技術として、新たな注目を集めている。

代表的なものが、グーグルとアップルの取り組みだ。両社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者と濃厚接触したかどうかをユーザーに通知するシステムの開発を進めており、何十億もの人々に提供しようとしている。仕組みは簡単だ。Bluetoothは常に他のデバイスを探して信号をスキャンしているので、携帯電話の信号を使えば誰の近くにいたかが分かる。新型コロナウイルスへの感染で陽性と診断された人がアプリに登録すると、アプリは一定期間内にその人の近くにいたすべての人に、感染の危険性があると注意を呼び掛ける。

ただ、早期のシステムの完成に取り組む専門家の懸命の努力にも関わらず、現実にはBluetoothから正確な情報を得るのは複雑で、技術的にも難しい課題がある。「人にどの程度、どのくらいの間近づいた時に、感染の危険性があるのか」という疑問に答えるのは難しく、Bluetooth信号から正確な測定値を得るのもとても困難なのだ。

Bluetoothの距離の測り方

Bluetoothは、ほとんどの接触者追跡ソリューションに採用されている。その理由は、Bluetoothが低電力信号でほぼすべての携帯電話に装備されており、妨害を受けにくくプライバシーの侵害なく使用できるからだ。標準機能の一部として、別の携帯電話の信号の強さ(RSSI:受信信号強度)を測定でき、理論的には、信号の強さは距離に比例するので、2つの携帯電話がどの程度離れているのかの測定に使える。強い信号は2つの携帯電話が近接していることを意味し、弱い信号はそれらが遠く離れていることを意味する。したがって、2つの携帯電話の間である一定の信号の強さを検知した場合、その所有者らが「接触した」と見なせる。

Bluetooth信号はどのように複雑になるか

ただし、実際には多くの要因で信号が妨害され、データを不正確にする場合がある。たとえば、壁や人の体、ポケット、一度に複数の携帯電話が近接することなどが、測定値を狂わせる可能性がある。ヴァージ(Verge)のケイシー・ニュートン編集者は最近のニュースレターで、米国保健福祉省(HHS)のファルザド・モスタシャリ元調整官(健康情報技術担当)へインタビューしている。 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  2. OpenAI has created an AI model for longevity science オープンAI、「GPT-4b micro」で科学分野に参入へ
  3. 10 Breakthrough Technologies 2025 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る