2017年中と予想されるドロップボックスのIPOは、もっとも成り行きが気になることのひとつだ。
前回ドロップボックスが資金を調達した2014年時点で、評価額はなんと100億ドル。しかし、フィデリティやT・ロウ・プライス等の大手投資会社は、2015年にドロップボックスの株式の帳簿価額を50%も切り下げた。最大の懸念点は、何億人にも使われている無料ファイル・ストレージ・サービス企業は、巨大なビジネスをするのに十分な有料会員を獲得できるのか、にある。
ドロップボックスの財務状況に詳しい関係者によれば、直近12カ月の売上高は7億5000万ドル以上で、2014年の約4億ドルから増加した。既存の投資家には嬉しい驚きだ。ユーザー1人あたり年額150ドルの上位版「ドロップボックス・ビジネス」の売上が好調なのも一因で、2016年初頭からのドロップボックスのキャッシュフローは、開発や販売、ITインフラに多額の投資をしているにもかかわらず順調だ。
共同創業者のドリュー・ヒューストン最高経営責任者(CEO)は現在、新しい戦略上の責任を負っている。デジタルファイルを安全に利用できる機能を販売するのに加えて、ドロップボックスはビジネスパーソンが書類を作成し、仕事を済ませるために毎日何時間も使うソフトウェアを提供しようとしているのだ。記者に送られた招待状によれば、ドロップボックスは製品ロードマップについて1月30日に詳細を発表する。
ベンチャーキャピタル企業のセコイア・キャピタル(ドロップボックスの初期投資家)のパートナーであるブライアン・シュライアーは「ドロップボックスは成熟した、本当にとてもパワフルなソフトウェア企業です」という。
この発言の意味は、ドロップボックスが、当時でさえバブルが弾ける兆候だと誰もが思っていた100億ドル以上の評価額に見合う会社になる、ということではない。ドロップボックスが株式を公開する時までに年間売上高が10億ドルに達したとしても、ドロップボックスには現在の売上高の10倍の価値があると投資家は考えなければならないのだ。ベッセマー・ベンチャーパートナーズによれば、最近の平均的なクラウド・ソフトウェア企業は、売上高の4.7倍で取引されているに過ぎない。
とはいえ、シュライアー等の投資家は、ドロップボックスの根幹を成すビジネスモデルについて心配しているわけではない。毎月約1000万人の新規ユーザーが無料のコンシューマー版を使い始めている。そこから、より大きなストレージ容量と共有機能が使える年額100ドルのプロ版に移行するユーザーの割合は増えている。プロ版の顧客の多くがドロップボックスを仕事で使っており、ひとたびユーザーの勤務先が、ドロップボックスがどれほど社内で人気なのかを知れば、個人よりもチーム用に設計されているドロップボックス・ビジネスに移行する可能性が高い。現在のところ、20万社以上がドロップボックス・ビジネスを利用中で、2014年の5万社よりも増加している。ほとんどは中小企業だが、エクスペディアやニューズ・コーポレーション等、わずかではあるが従業員1万人以上の大企業も利用中だ。
生産性やコラボレーション用途のソフトウェアが企業 …