2016年に選んだ世界を変えるテクノロジーは実際世界を変えたのか?
ビジネス・インパクト

10 Breakthrough Technologies of 2016: Where Are They Now? 2016年に選んだ
世界を変えるテクノロジーは
実際世界を変えたのか?

再利用可能ロケット、免疫工学、テスラのオートパイロットなど、昨年選んだ新しいアイデアは、どこまで世界を変えただろうか? by Tom Simonite2017.01.03

MIT Technology Reviewは、毎年2月に今後数年間で世界を大きく変えそうな革新的テクノロジー10件を紹介している。昨年選定した10大テクノロジーが、現在、どこまで進展したのか見てみよう。

免疫工学

MIT Technology Reviewでは、免疫システムの調整に遺伝子編集を利用することで2016年にがんのハイテク治療に大きな進展があると予測し、実現した。まずアメリカの研究者が、操作したT細胞をがんキラーとして改造するために遺伝子編集手法「クリスパー(CRISPR)」を利用する許可を得た。この研究はインターネット実業家で億万長者のショーン・パーカーの支援を受けていることが判明している。パーカーは免疫システムへの「ハッキング」を支援するために2億5000万ドルを提供したと4月に公表した。しかし中国企業が一足早くCRISPRで編集したT細胞を患者に投与したと11月に発表した。

精密な植物遺伝子編集

遺伝子編集技術「クリスパー(CRISPR)」の用途は、がん治療法の開発だけではない。CRISPRによって農作物の遺伝子編集がより簡単になった。2016年、米国の規制当局はCRISPR作物の多くは規制対象にならないだろうと再び明言した。つまり、CRISPRで遺伝子を編集された作物が市場に出回るまでにかかる時間は、遺伝子組み換え作物の時と比較すると、ずっと短くなる。先頭を切るのはデュポンが作り出したワキシー種トウモロコシで、缶詰食品やサラダ用ドレッシングの乳化剤として有用だ。このコーンは5年以内に商品化される可能性がある。 また茶色くならないマッシュルームを考えついた研究者もいる。12月にはニューヨークのコールド・スプリング・ハーバー研究所の研究員が、遺伝子編集によって、つるに生った状態で通常よりも2週間早く熟す商業用トマトの品種が作り出せることを示した。

会話型インターフェイス

MIT Technology Reviewは、機械学習の進化によってソフトウェアによる音声認識が格段に正確になり、さらに多くの場所や場面でコンピューターを活用する道が開けたと昨年2月の記事で紹介した。その後、主要なテック企業が声によるコンピューター操作を次第に採用し始めた。「Siri」や新たに発表された取って付けたような名前の「グーグル・アシスタント」など、音声操作アシスタントをめぐる競争が現在進行中だ。またグーグルとアマゾンは音声インターフェイスは家庭内で役立つと考えている。新デバイス「グーグル・ホーム」で、先行するアマゾン・エコーに対抗する。さらにアマゾンは声に表れた感情を認識できれば、音声インターフェイスがどれだけ進化するかを探求している。

再利用型ロケット

2015年末、2基のロケットが「世界初」をやってのけた。折り畳み式の脚を使って発射台の上にスッと着陸した …

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