トランプ大統領が4月14日に下した、世界保健機関(WHO)に対する米国の資金拠出を凍結する決断は、世界中の政治指導者および科学専門家の批判に晒されている。トランプ大統領は同日、「コロナウイルスの感染拡大への対処における重大な不手際と隠ぺいにあたってWHOが果たした役割」を調査する期間として、WHOへの資金拠出を60日から90日間停止すると発表した。米国はWHOの最大の資金提供国であり、2019年は予算合計約60億ドルのうち約5億ドルを提供している。
トランプ大統領の決断に対する批判は、すばやく厳しいものであった。以下のコメントはそのほんの一部である。
- WHOの親組織である国連のアントニオ・グテーレス事務総長談:新型コロナウィルスと戦っているWHOその他の人道組織の活動に必要な資金を削減すべき時ではない。
- 欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表談:新型コロナウイルスのパンデミックを抑制及び緩和しようとするWHOの取り組みがかつてなく必要とされている時にあって、このような動きはまったく正当化できない。
- 医学専門誌『ランセット(Lancet )』のリチャード・ホートン編集長のツイート:トランプ大統領のこの決定は「人道上の罪」である。
- ジョンズ・ホプキンス大学ヘルスセキュリティセンター上級研究員のアメシュ・アダジャ談:パンデミックの真っ最中にすべきことではない 。
- WHOに対する民間の最大の支援者であるビル・ゲイツのツイート:世界的な保健危機にあるいま、WHOへの資金提供を停止することは危険そのものである。
- WHOの公衆衛生及び人権センターのセンター長を務めるローレンス・ゴスティンのツイート:他の諸国が資金提供を増額して空白を埋めようとするであろうから、この動きは逆効果となるだろう。米国は、パンデミックの最中、世界の保健に関しての発言力を失うだろう。
トランプ大統領の動きは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに関する批判を他に転嫁する動きであると解釈されるだろう。米国は今回のパンデミックによって、どの国よりも大きなダメージを受けている。しかしWHOは、1月10日にはすでに新型コロナウイルス感染症がヒトからヒトへ感染するリスクについて米国に警告を発している。