中国での新研究によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症して回復した患者から採取した血漿(けっしょう)を重症患者に投与すると、症状の回復に役立つ可能性がある。
病気から回復した患者から採取した血液を利用する、いわゆる「回復期血漿療法(convalescent plasma)」自体は以前から存在している。新型コロナウイルス感染症に対しては効果が実証された薬が現時点で存在しないことから、この方法が試みられている。回復した患者から採取した血液は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体で満たされている。これらを他の患者に投与すると、その人の免疫反応が高まるまで一時的にウイルスを妨害するのに役立てることができる。
中国の国営企業であるシノファーム(Sinopharm)に勤務する科学者グループが発表したこの研究は、ランダム化されていないため、血漿による効果が確実に立証された訳ではない。しかし、10人の重症患者に対しコーラ缶半分ほどの量(日本版注:200ミリリットル)の血漿を投与したところ、3日後には症状がずっと改善したという。一部の患者では、新型コロナウイルスが検出されなくなったことから、この報告書の著者らは、血漿が新型コロナウイルス感染症の重症患者を救うための「有望な選択肢となる可能性がある」と結論付けている。この報告書は、以前に発表された中国の5人の患者を対象とした研究に続くものである。
米国の病院では緊急に献血者の確保に乗り出しており、血漿の輸血の試みも開始している。新型コロナウイルス感染症から回復した人は、米国血液銀行協会(American Association of Blood Banks)が開設しているWebページで、献血を受け付けている場所を知ることができる。また、 赤十字社も同様の取り組みをしている。ただし、献血できるのは「完全に回復した」人だけであり、米国食品医薬局(FDA)は症状が治ってから14日間待つ必要があると述べている。
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