新型コロナ「抗体検査」で
外出自粛から開放される?
抗体検査で新型コロナウイルスへの抗体を持っていることが分かれば、自宅待機から解放されるかもしれない。だが、過剰な期待は禁物だ。抗体検査とは、一体どんな検査なのだろうか? by Neel V. Patel2020.04.06
米国のトランプ大統領は3月30日、これまでに100万人以上に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査を実施したと発表した。世界各国でこれまでに実施された検査よりもはるかに大規模だ。米国は検査の展開がひどく遅れたために、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を阻止する取り組みで他国に後れをとっている。それでも検査は依然として重要だ。世界保健機関(WHO)は、感染者を隔離し、感染の疑いがある人も症状の有無に関わらず自主隔離する必要があるとしている。また、感染者数の増加が見込まれる地域を把握し、入院者数の増加を見越してリソースを配分する必要もある。
ほかにも、過去に感染していて、現在は新型コロナウイルスに対して(少なくともしばらくの間)免疫があると思われる人を見つける必要性も大きい。新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクが始まって以来、さまざまな団体が新型コロナウイルスに対する抗体の有無を判断できる血清学的検査の開発に向けて努力を強化してきた。抗体があるということは、すでに感染したということだ。血清学的検査を人々が利用できるようになれば、自宅待機を解除し、表面的には通常の生活に戻れる人を決定する方法が生まれる可能性がある。
そこで、新型コロナウイルスの抗体検査について知っておきたい重要点をまとめた。
抗体検査が必要な理由
多くの感染者は、軽度または中程度の症状が発生するだけで、症状はかなり短期間で消える。利用できる検査キットが不足しているため、深刻な症状が出ていない多くの人々が検査を拒否されている。検査を受けられなかった個人(筆者もその1人)は、すでに感染して免疫がついたのか、それともこれから症状が出て周囲にウイルスを拡散するリスクがあるのかを確認する方法がなく、事実上曖昧な状態に置かれている。さらに言えば、すべての人を検査することができなければ、感染がどれだけ広がっているのか、実際の致死率は何パーセントなのか、感染拡大を阻止するためにどの対策が実際に機能しているかといった疑問に正確に答えようがない。
抗体検査が広く利用可能になれば、こうした基本的な疑問の答えを見出せるかもしれない。新型コロナウイルスに対する免疫の作用について理解が深まれば、感染済みの人に免疫があることを保証できるようになる可能性がある。つまり、他人に感染させる心配をすることなく、仕事や社会生活に戻れる可能性がある。これは、人手不足に陥っている診療所や病院、または電力網の稼働維持などの適切な訓練を受けた人材を必要とするインフラ、電気・ガス・水道等の事業者にとって特に重要だ。
抗体検査のしくみ
病原体が体内に入ると、免疫系はその病原体に特異的に結合できる抗体を作り出し、病原体の排除を試みる。抗体は長期間体内に保持され、病気によっては数年から一生持続するものもある。抗体が保持されている間に病原体が再び体内に侵入すると、抗体の産生が増加されて病原体の毒性が中和される。
抗体検査は患者の血清を分析するので、血清検査と …
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