新型コロナ、感染力ピークは発症後「5日」か=独新研究
新研究によると、新型コロナウイルスの感染防止には飛沫対策に焦点を当てるべきだという。マスク着用の方針見直しにも影響を与える可能性がある。 by Charlotte Jee2020.04.03
ネイチャー誌のWebサイトで公開された新しい研究によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)保有者の感染力がもっとも高いのは、最初に症状が出てから1週間以内のようだ。
ドイツ・ミュンヘンの研究チームは、「比較的軽度」の症状を示す9人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のデータを分析し、14日間に渡って感染力の強さを調べた。具体的には、喉・肺由来の検体、痰(咳と一緒に出た唾や粘液)、便、血液、尿に含まれるウイルス量を調べた。
研究チームが発見したのは、新型コロナウイルスは喉で増殖し、最初に症状が出てから5日間でウイルス濃度がピークに達することだ。とはいえ、症状が治まった後でもウイルスは検出された。血液、便、尿からはコロナウイルスは検出されなかった。また、9人の患者のうち4人が、味覚や嗅覚を失った点は注目に値する。この症状は、キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームも最近、感染を示す「強力な予兆」としている(ただし、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス症状リストにはまだ追加されていない)。
こうした小規模な研究から、広く一般的な結論を導き出さないことが賢明だ。今回の結果が正しいかどうか確認するには、より多くの患者を対象とした研究が必要となる。しかしながら今回の研究は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための対策は、物体や素材、表面ではなく、「飛沫」を経由した感染に焦点を当てるべきだということを示している。公の場でマスクまたは他の顔を覆うものの着用を推奨する議論に、説得力を与えるかもしれない。米国の現在の公式なアドバイスではマスクの着用は不要としているが、当局はその方針を見直すべきかどうか、現在検討中だ。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。