KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
リモートワークで利用急増の「ズーム」、安全性に疑問の声も
Associated Press
Zoom is facing questions about how private or secure it really is

リモートワークで利用急増の「ズーム」、安全性に疑問の声も

新型コロナウィルスで在宅勤務が広がる中、ビデオ会議プラットフォームの「ズーム(Zoom)」が人気を集めている。だが、セキュリティ上の問題を指摘する声が相次いでいる。 by Charlotte Jee2020.04.03

インターセプト(The Intercept)の3月31日の報道によると、ビデオ会議プラットフォームの「ズーム(Zoom)」は、エンドツーエンドで暗号化を実施していると主張しているが、実際にはされていないという。同日にはズームからユーザー数千人のメールアドレスや写真が漏洩し、見知らぬ者同士で通話ができる状態になっていたこともヴァイス(Vice)によって明らかにされた。メールアドレスで使われているドメイン名が同一のユーザーを同一企業に勤めているとして扱い、グループ化されていたのが原因だという。ズームはヴァイスに対して、流出したドメインをブラックリスト化したと伝えている。

これだけではない。ズームは集団訴訟にも直面している。ズームが適切な同意を得ずに利用者のデータの一部をフェイスブックと共有していたという訴えだ。3月30日には、ニューヨーク州のレティーシャ・ジェームス司法長官が同社に書簡を送り、トラフィックの増大と、それによるハッカーの関心の高まりに対処するために、どのようにセキュリティ対策を強化するのかを尋ねた。また、パスワードなしで参加できる公開会議に乱入し、画面共有機能を乗っ取る「ズーム爆弾(Zoombombing)」の問題も広く報告されている。ズーム爆弾を受けて、米国連邦捜査局(FBI)は、ズームを使う会議はパスワードで保護するよう警告している。MITテクノロジーレビューはズームにコメントを求めたが、4月1日時点で返答はなかった。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)によって人々が自宅に留まらざるを得ない中、ズームはビデオ会議プラットフォームの中でも特に急速に人気を高めている。職場でのビデオ通話から運動、社交まで、あらゆる場面で使われている。英国ではボリス・ジョンソン首相が、3月31日に開いた閣僚会議のIDをうっかり公開してしまうなど、公務でも使われていることが分かっている。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る