「レリッシュ」(薬味)の瓶詰めを毎週買う人はまずいないだろう。しかし、オカド(Ocado)で買うと決めれば、店の奥で探し回る必要はなくなる。ロボットに電話すれば人工知能が顧客宅の玄関まで配送を手配してくれるからだ。
オカド(世界最大のオンライン専業食料品店)によれば、ドードン(英国第2番の都市バーミンガムに近くにある)にある約3万3000m2の倉庫は、アマゾンの倉庫設備より、ずっと自動化されている。オカドの業務は、たしかに多くの面でアマゾンより工夫が必要だ。オカドが扱う4万8000点の商品の大半は生鮮食品であり、多くは冷蔵または冷凍する必要がある。一部商品(寿司など)は、倉庫への搬入日に顧客へ届けないといけない、
となると、商品の保管や出庫、発送業務は、複雑で時間制限付きの最適化問題(つまり、スパコンが得意とする処理能力頼みの問題)だ。しかし、オカドが成長して利益を出すには(飽和状態にある英国の食料品市場で実現しているとはいえ)、各工程をできるだけ効率化する必要がある。
現在、顧客がオカドのWebサイトで食料品を注文すると、商品は大きなプラスチック製ケースに即座に詰め込まれる。しかし、ドードン倉庫の長さ30kmのベルト・コンベアが、梱包作業の担当者の前に空き箱を運んでくるので、梱包は手作業でも、歩き回る必要はほとんどない。梱包担当者は商品のある棚(ロボットが補充する)か、クレーンやコンベアで倉庫から運び出された箱から商品を取り出すだけでいい。オカドのアルゴリズムは商品の需要を監視し、人気商品が常に取り出しやすい位置に置かれるように、最適な保管場所を計画してくれる。
梱包し終わった注文品は大きなトラックで配送センターに運ばれ、ワゴン車に積み替えられる。各ワゴン車は、顧客の配送希望時間や道路状況、天候などの要素に基づいて慎重に最適化された配送経路に沿って配達に向かう。
しかし、オカドはもっと高速化したい。オカドのポール・クラーク最高技術責任者(CTO)は「弊社の事業は、1秒未満で動いているのです」という。「今度はどうすれば作業工程からわずから無駄をそぎ落とせるか、が全てなのです」
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